ABC上級コースでは、Bを更に奥深く追及していくために、紙に書き出して、じっくり考えていくことが重要です。ワークシートを使って、説明をしていきましょう。
ABC上級コースのワークシート例については、こちらをご覧下さい。
- A→B→Cの順になっていますが、書き込む時には、A→C→Bの順番で行います。
- Bでは、AからCを引き起こした自分の考えを書いていきます。
- そしてその考えの中に「思考のトラップ」がないか、チェックします。
- それから、普段自分が意識しないけれど思考のトラップを作っている固定観念、こうならなければいけないと思い込んでいる人生のルール、つまり「海の中の氷山」がないかどうか考えてみます。
- 「レジリエンスを使って自分を変えていく方法⑧ 思考のトラップを作っている「海の中の氷山」を探しましょう。」も参考にしてみて下さい。特定の思考のトラップは、特定の「海の中の氷山」を作りやすいのです。
- そして、Bで書き出した考えの中で、Cが起きた原因・理由について触れている物があればWhy思考として◎をつけておきます。
具体的な例を挙げて、ABC上級コースのワークシートの使い方を説明していきましょう。
起こったシチュエーションは以下の通りです。
Mさんが会社の顧客であるA社に上司と訪問し、新商品の紹介で会議を持ちました。その会議の場で新商品の資料をXさんに渡して説明したところ、Xさんから、資料で使った新商品の効能についての説明がおかしいこと、誤字があることを指摘されました。Xさんはこんないいかげんな資料を客に持ってくるなんておかしいと怒りました。
MさんはXさんにその場で謝罪しましたが、Xさんは立腹しており、会議は途中で取りやめになりました。
Mさんは帰社してから上司の部屋に呼ばれ、資料のミスについて叱責されました。
その日は自分のミスのことで頭が一杯で、他の仕事に身が入りませんでした。
帰宅後もミスのことを考えてばかりで、何もする気が起きず、だらだらと過ごしました。現実から逃避したくて、スマートフォンで夜遅くまでネットサーフィンしました。
翌日もMさんは前日のミスについてくよくよ悩んでいます。朝、今回の出来事につき、ABCを試してみることにしました。
Mさんが書き込んだABCのワークシートはこちらです。
Mさんは「カタストロファイジング」「無力感」「トンネルビジョン」の思考のトラップに自分が陥っているのではないか?と感じています。
それから、「一つのミスをしたらそれで全部終わり」という固定観念があるようで「完璧でなければならない」という「アチーブメント思考」の「海の中の氷山」があるのではないだろうかと気づき始めました。
顧客向けの資料の中にミスがあったことは、事実です。Mさんの誤りである事は否定できません。そのミスにより顧客であるXさんを怒らせてしまった事も事実であり、Mさんが申し訳ない、自己嫌悪であるという感情を持つことは自然な感情といえるでしょう。
ただし、一つのミスにより、自分が無能で能力がなくだめな人間だと考えるBは行き過ぎです。また、一つのミスで会社を解雇になり求職活動をしなくてはならないと思うことはも行き過ぎでしょう。思考のトラップである「カタストロファイジング」に陥っているとみなせます。
もう何もかも嫌になって、起こしたミスのことばかり考えているMさんは「無力感」という思考のトラップにはまっているともいえるでしょう。
Mさんは「ミスを起こした」という事だけに集中していて、そのミスをどう直すか、挽回するか、Xさんや上司の信頼を取り戻すかという事を、全く考えていません。
ミスのことだけで、思考がぐるぐる回っています。これこそ、思考のトラップのデメリットです。起きてしまった問題について、どう対処すればよいかという視点が、抜け落ちてしまうのです。
では思考のトラップに陥ったBを、どうやって変えていけばよいでしょうか?
次回は、Bを変えて、問題解決へ導く方法を紹介していきましょう。
ABC上級コースのワークシートを使って、問題が起きた出来事や、ネガティブな感情が沸いた出来事について、あなたなりのABCを書いてみましょう。