オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
レジリエンス

レジリエンスを使って自分を変えていく方法⑫ ミー/オールウェイズ/エブリシングのリアリティをチェックしましょう。

ABCで書き出したB、自分の考え。思考のトラップ。自分で作り上げた固定観念「海の中の氷山」。Bに書き出した事が存在するとまずは認めることが大切です。
存在を認めたら、そのBを変えていく方法にトライしてみましょう。

Bに書き出した考えの中に「ミー/オールウェイズ/エブリシング」(Me―Always―Everything)が含まれていないかチェックします。

「レジリエンスを身につけるワーク➂ 悪い出来事が起きた時の3つの考え方を練習しましょう」でも、オプティミズムを持つ人の考え方の3つのパターンを紹介しました。
ある出来事が起きた時に、頭の中でどういう説明スタイルが作られるか、特に悪い出来事が起きた時の反応の仕方で、オプティミズムかそうでないかが、かなりはっきり分けられます。オプティミズムを持つ事は、レジリエンスを培う大きな要素になります。
よい出来事であれ、悪い出来事であれ、何かが起こった時に、私達の脳は「なぜ起こったか?」という答えを探し始めます。その答えに対しての説明パターンには3つの方向性があります。

  1. 原因が内的なものか、外的なものか Internal (Me) ⇔External (Others)
    レジリエンスが欠けている人は内的=自分(Me)が原因で起こったと考える傾向にあります。
  2. 状況がずっとこのままか、変わっていくものか Stable(Always) ⇔ Unstable (Sometimes)
    レジリエンスが欠けている人は出来事が起きた状況が永遠に続いて固定したもの(Always)だと思う傾向があります。
  3. すべてに当てはまると思うか、特定の場合だけだと思うか Global (Everything)⇔Specific
    レジリエンスが欠けている人は、この出来事がすべてに影響する、すべての出来事を象徴している(Everything)と思う傾向にあります。

つまりレジリエンスが欠けている人は出来事(特に悪い出来事)に対し、その起こった理由を、ミー/Me(自分が原因で)、オールウェイズ/Always(いつもこうなる、ずっと続く状況)、エブリシング/Everything(この出来事がすべてを支配している)と、考えるのです。

前回の例について考えてみましょう。

  • 自分は能力がない。職場で必要でない。→一つのミスで、すべてがだめになると思うエブリシング思考です。
  • 無能でダメな人間だ。→エブリシング思考です。
  • 上司にも顧客にも全く信用されていない。→これから先も信用されないというオールウェイズ思考です。
  • いつも上司に叱られてばかりいる。→いつも叱られていると思うオールウィズ思考です。
    一つミスをしたらもう終わりだ。→エブリシング思考です。
  • 嫌な事から逃げ出したい。→一つのミスでもうだめだと思うエブリシング思考です。
  • 顧客から信用されないから、担当をクビにされるかも。そうなれば会社は私を解雇するかもしれない。→一つのミスですべてダメになり、状況がダメなまま変わらないとするエブリシング思考とオールウェイズ思考のミックスです。
  • 30歳近い年齢で職探ししてもいい仕事がみつかるわけがない。→自分はダメだと思い込むミー思考です。

Mさんは「ミー/オールウェイズ/エブリシング」をチェックする前から、ABCを書き出す過程で、自分が「無力感」「カタストロファイジング」という思考のトラップに陥っているのではないかと、気づいていました。
また、「完璧でなければならない」という思い込み、「アチーブメント思考」という「海の中の氷山」に支配されているかもしれないと感じていました。
「ミー/オールウェイズ/エブリシング」をチェックしてみて、Bに書き出した自分の思考のトラップや「海の中の氷山」が確かに自分の中に存在すると確認したわけです。

では、次に「ミー/オールウェイズ/エブリシング」のリアリティをチェックしていきましょう。本当にそうなのか?どれくらい現実的なのか?をチェックしていきます。その考えが悪い意味で本当に現実になると思うならば1,全く違って正反対でよい意味で現実になると思うなら7、1~7のスコアで、リアリティ度をチェックしていきましょう。

Mさんの例で見ていきましょう。

  • 自分は能力がない。職場で必要でない(エブリシング思考)
    :ミスをするから能力は劣っていると思う。でも職場で必要ないは極端すぎるかも。
  • 無能でダメな人間だ。(エブリシング思考)
    :仕事で有能ではないかもしれないけれど、それがすべてではないかも。
  • 上司にも顧客にも全く信用されていない。(オールウェイズ思考)
    :A社のXさんは怒っていたし信用を失ったと思う。でも、今まではXさんは割と時間を作って私の提案を聞いてくれていた。
    上司には叱られたけど、よく思い返してみると、資料のミスを修正してもう一度A社を訪問せよと言っていた。チャンスをもう一度与えてくれているから、信用ゼロではないかもしれない。
  • いつも上司に叱られてばかりいる。(オールウィズ思考)
    :確かに今回叱られたけど、いつも叱られてばかりではないかも。前回は顧客向けの説明が上手いとほめてくれた。
  • 一つミスをしたらもう終わりだ。(エブリシング思考)
    :冷静にみれば、一つのミスで私の人生が終わりということではないと思う。
  • 嫌な事から逃げ出したい(エブリシング思考)
    :今回のミスは自分でも苦しい。私の失敗だ。でも、だからといって仕事から逃げ出したいと思っているわけではない。今回のミスから逃げ出したい、なかったことにしたいと思っているのだ。
  • 顧客から信用されないから、担当をクビにされるかも。そうなれば会社は私を解雇するかもしれない。(エブリシング思考とオールウェイズ思考のミックス)                           →:最悪A社の担当をクビにされるかも。私の業績評価は悪くなるかも。でも、いきなり解雇されるとは思えない。
  • 30歳近い年齢で職探ししてもいい仕事がみつかるわけがない。(ミー思考)
    :確かに特別有能ではないかもしれない。でも今の段階で新しい職探しのことを考えなくてもいいのでは?

以上のように「ミー/オールウェイズ/エブリシング」思考に支配されていたMさんも、もう一度冷静に見てみると、あまりリアリティ感のない不安や心配をしていたかもしれないと気づきます。

自分の考えB、特に思考のトラップによって作られたBが、現実になる確率は意外と小さいとわかります。1~7のレンジのうち、1(自分の考えが悪い意味で現実化する)をつける事は滅多にないのです。逆に7(自分の考えが悪い方とは正反対のよい方で現実化する)がつく事もほとんどないのですが。たいていは2~6の間のスコアになると思います。

B、特に「ミー/オールウェイズ/エブリシング」に支配されたBは、1~7のスコアをつけることで、そのリアリティ度をチェックできます。本当にそれは現実か?と考えを書き出していく過程で、極端な方に傾いていたBが、軌道修正されていきます。

軌道修正されていくと、出来事をどうやって解決していくかという、問題解決への道を探せるようになってきます。この方法は「カタストロファイジング」という思考のトラップに陥りやすい人には特に効果的です。
次回は問題解決への道のりをどのように探すかを説明していきましょう。

書き出したBについて、ミー/オールウェイズ/エブリシング思考になっていないかチェックしましょう。そのリアリティ度について1~7のレンジでスコアをつけていきましょう。

レジリエンスを身につけるワーク➂ 悪い出来事が起きた時の3つの考え方を練習レジリエンス...
レジリエンスを使って自分を変えていく方法⑪ ABC上級コースのワークシートを使って自分の考えを整理してみましょう。レジリエンスを使って自分を変えていく方法...

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA