ABCで書き出したBについて「ミー/オールウェイズ/エブリシング」のリアリティ度をチェックし、1~7のスコアをつけてみたところで、3以下のスコアをつけたBに注目しましょう。
リアリティ度は1~7のレンジですから、4が真ん中です。1~3のスコアがついたBは、考えていることが悪い方に現実化する確率が4~7のスコアよりも高いわけです。あるいは少なくとも自分はそう思っているわけです。ですから、まずは、その1~3のスコアのBをどうするかということにフォーカスしましょう。
Mさんの例で見ていきましょう。
Mさんの書き出したBのうち、リアリティ度が3以下のスコアをつけたものは2つです。
① 自分は能力がない。職場で必要でない(エブリシング思考)
→3:ミスをするから能力は劣っていると思う。でも職場で必要ないは極端すぎるかも。
➁上司にも顧客にも全く信用されていない。(オールウェイズ思考)
→2:A社のXさんは怒っていたし信用を失ったと思う。でも、今まではXさんは割と時間を作って私の提案を聞いてくれていた。
上司には叱られたけど、よく思い返してみると、資料のミスを修正してもう一度A社を訪問せよと言っていた。チャンスをもう一度与えてくれているから、信用ゼロではないかもしれない。
まずはこの2つのBについてどう対処するかを考えましょう。それが悪い出来事Aについての問題解決の道になります。
Bの悪い考えを現実にしないためにどうしたらいいのかを、自分で自分に質問していきます。
① 自分は能力がない。職場で必要でない(エブリシング思考3)
→今回のミスは自分の能力が劣っているから。
→どういう能力が劣っているのだろう?
→今回のミスは、資料をダブルチェックしなかったことと、締め切りが迫って慌てて資料を 作ったことが原因だと思う。
→資料をダブルチェックすることは必須にして、同僚や上司にも事前に資料を読んでもらうようにしたら?
→締め切り直前に資料を作ったからダブルチェックする余裕もなかった。締め切りよりも一日前に資料を完成させれば、ダブルチェックしたり、上司に資料を見てもらう時間はあったのではないだろうか。
→資料を間違いなく作るために集中する時間を、あらかじめスケジュールに組み込んでおくべきだった。
→タイムマネジメントを見直す必要がある。
➁上司にも顧客にも全く信用されていない。(オールウェイズ思考2)
→A社のXさんは怒っていたし信用を失ったと思う。上司も私に失望したと思うけれど、まずはXさんの失った信用をどうしたらいいかが問題だと思う。
→ミスした事は事実だから、Xさんに電話をいれて、前回の会議での資料のミスを改めて謝罪しよう。
→資料のミスを修正して、今度こそ間違いのない資料を作ろう。
→せっかくなら、改良する所は改良して、前回よりもいい資料にしよう。
→ミスを修正した資料をXさんに見てもらって、もう一度説明を聞いてもらいたい。
→Xさんにそう頼んでみよう。Xさんはかなり怒っていたから、断られるかもしれない。そうしたら電子メールで送ろう。その時に、Xさんに改めて説明する時間をもらいたいと書こう。
→それでもXさんが会ってくれなければ、仕方ないので、今後の対応を上司と相談しよう。
→上司には少なくとも私がミスを挽回するために行動していることをわかってもらおう。
このように、Bの考えを悪い方に現実化させないようどうしたらよいかを考えていくと、次々と見直す点や問題解決のアイディアが浮かんできます。
一つのミスで、すべてが終わりで自分の能力や会社での存在意義さえ疑っていたMさんでしたが、具体的に何をするかがわかると、行動に移れます。行動を起こしていると、悶々と悩んでいる事態から抜け出すことができ、思考のトラップからも抜け出しやすくなります。
一個のミスで自分は能力がない、職場に必要とされない、会社を解雇されるとまで考えていたMさんですが、具体的な行動を起こしているうちに、そのような「ミー/オールウェイズ/エブリシング」の思考は消えていき、行動に集中できるようになります。それが問題解決に繋がっていくのです。
リアリティ度スコア1~3をつけたBについて、対処法を考えていきましょう。どうしたらいいか、自分に質問していきましょう。