困難な局面に直面したり、ネガティブな感情に覆われた時に、ABCを書き出して、Bに思考のトラップがないか、本当に自分の考えているBはリアリティがあるのか、これまで紹介してきた方法で対応し、問題解決へのアクションに繋げていく事が、困難な状況から抜け出すために有効です。
しかし、落ち着いてABCを書き出していられない、今、この瞬間に怒りや悲しみで苦しいくらいだという場合もあるでしょう。
その時には、ABCを書く前に、コーミングcalmingをします。自分を落ち着けて、静かな状態に持っていくアクションです。
幾つかのコーミングの方法を紹介しましょう。
意識的な呼吸をする
「レジリエンスを身につけるワーク⑪ 意識的な呼吸で思考のトラップから抜け出しましょう。」でも紹介したように、腹式呼吸を意識して行いましょう。「意識的な呼吸」のコツは
息を吸う時にお腹を膨らませる、息を吐く時にお腹をぺったんこにすることです。最短でも2分ほど腹式呼吸をしてみましょう。
体をもむ、ほぐす
緊張したり、怒ったりすると、体がぎゅっと固くなります。首、肩、腕、手を自分でマッサージして、ほぐしましょう。首をゆっくり回す、肩を前後に大きく回す、腕を上から下まで揉む、両腕を上にあげて背伸びをする、両手の指を交差させて動かす、手の平や指をもう一方の手でマッサージする。オフィスで座りながらでもできる動作です。
強張った体をほぐすだけでも、気持ちに少し余裕が出ます。
ポジティブ・イマジネーション
目を閉じて、呼吸をしながら、自分が心地よいと感じられる場所をイメージします。そしてその場所に自分がいる様子をイメージします。静かな湖畔のほとりの白いベンチに座っている自分。さざ波を聞きながら海辺に座っている自分。森の中で鳥の声を聞いている自分。自分が温かい気持ちになる場所をできるだけ具体的にイメージしましょう。そして「私は落ち着いている。私は和やかである。私はリラックスしている」とつぶやき(隣に人がいるなど状況が許されない時は、心の中でつぶやきます)、自分が暖かく、静かで、落ち着く場所にいるシーンをイメージします。
旅行番組や旅行のガイドブック、美しい庭の写真集などを見ておくと、自分のお気に入りの場所をイメージしやすくなります。
コーミングで波立った感情を少しなだめた後で、ABCを書き出してみましょう。
※Karen Reinvich博士の著作『The Resilience Factor: 7 Keys to Finding Your Inner Strength and Overcoming Life’s Hurdles』を参考にしています。
激しい感情や困難な状況に襲われたら、まずコーミングで自分の気持ちを落ち着けてみましょう。