困難な状況に直面したり、ネガティブな感情に襲われて思わぬ行動を取ってしまった時に、ABCを書き出す前に心身を落ち着けるコーミングの方法を前回紹介しました。
コーミングの他に、困難な状況の真っ只中で、自分のネガティブな感情や行動が爆発しないように、レジリエンスの力を使う方法もあります。それが、リアルタイム・レジリエンスです。
「レジリエンスを身につけるワーク⑦ リアルタイム・レジリエンスで思考のトラップを撃退しましょう！」でも説明しましたが、ネガティブな感情に襲われている時は、多くの場合思考のトラップに陥り、悪い想像だけしています。時間を取ってABCを書き出せればよいのですが、その時間がない時に、その場ですぐ対処する方法が、リアルタイム・レジリエンスです。
リアルタイム・レジリエンスのポイントは、自分に語りかけて、凝り固まった「ミー/オールウェイズ/エブリシング」思考を壊していく事です。そのために「定番フレーズ」を使います。
「レジリエンスを身につけるワーク⑦ リアルタイム・レジリエンスで思考のトラップを撃退しましょう！」では
Evidence エビデンス 証拠集め
自分が心配している事が事実に基づいていない事を示すデータを示すアクション。
定番フレーズ「それは事実ではない、なぜなら〇〇〇だから」
〇〇〇の部分に具体的なデータを入れます。
Reframe リフレイミング（捉え直し）
事態のよい面やメリットを理解しようとするアクション。オプティミズムが重要な役割を果たします。
定番フレーズ：「もっと建設的な方法は〇〇〇がある」「少なくとも〇〇〇はましだ」
〇〇〇に、事態の前向きな面を入れます。
Plan プランニング 計画
もしも悪い事態が起こったら、こうしようと計画を前もって決めておきます。これは特にカタストロファイジングという思考のトラップに効きます。
定番フレーズ「もし△△△が起こったら、私は〇〇〇をする」
△△△に予想する悪い事態を、〇〇〇に対応策を入れます。
の３つの方法を紹介しました。
加えて、次の方法も使ってみて下さい。
Alternative オルタナティブ 違う視点
出来事を正確に事実に基づいて捉え、自分の考えとは異なる考え方や方法を探します。
定番フレーズ：「この出来事をもっと正確に見ると、〇〇〇ということだ」
Implications インプリケーション 予想される事態
出来事によって最も起こりそうな結果を予想し、その結果に対して自分ができることを探します。
定番フレーズ：「この出来事によって起こる最もありえそうな結果は〇〇〇だ。〇〇〇に対して自分ができることは△△△だ」
ただ、「インプリケーション」の場合、ネガティブな感情の中にいたり、カタストロファイジングのような思考のトラップに覆われていると、「最も起こりそうな結果」をついつい悪い方に考えてしまいがちです。客観的に「最も起こりそうな結果」を予想する必要があります。
ですから「インプリケーション」のリアルタイム・レジリエンスを使う前に、「最も起こりそうな結果」を事実に基づいて予想できるように、「レジリエンスを身につけるワーク⑩ ３つのケース策定をしましょう」で紹介した、ワースト・ケース、ベスト・ケース、プロバブル・ケースの３つのケースを考える練習をまずしましょう。
どのリアルタイム・レジリエンスも、定番フレーズを自分に言ってみることが大切です。声に出した方が効果的ですが、環境的にできない場合は心の中で言ってみましょう。
※Karen Reinvich博士の著作『The Resilience Factor: 7 Keys to Finding Your Inner Strength and Overcoming Life’s Hurdles』を参考にしています。
困難な出来事に直面したら、リアルタイム・レジリエンスを使ってみましょう。定番フレーズを自分に言ってみましょう。
