オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
レジリエンス

レジリエンスを使って自分を変えていく方法⑲ 人間関係にレジリエンスを活かしていきましょう。

このシリーズでは、自分の感情や行動を見つめ直して変えていくことに集中してきましたが、これまでに学んだレジリエンスのスキルは、自分以外の人、人間関係にも活用できます。
職場の同僚、上司、家族、配偶者、友人、恋人・・様々な人間との関係の上に私達の人生は成り立っていますが、実は人間関係ほど難しいものはないのです。
これまで見てきたように、私達の心の中にある思考のトラップや無意識の中の固定観念「海の中の氷山」。これは自分だけでなく、他の人達もそれぞれに持っているわけです。
自分自身についてでさえ、ABCを練習して初めて思考のトラップを発見したり、「海の中の氷山」に気づくわけですから、他の人の考えや固定観念を知ったり、理解することは簡単ではありません。たとえ、それが親や子供や配偶者であったとしてもです。

しかし、自分自身に対してABCなどのレジリエンスをスキルを学んだ後ならば、他の人に対してもスキルを応用して、他の人の考えや行動を理解することに役立てることができます。

相手は思考のトラップに陥っていないか?

まず、自分がそうであるように、相手も思考のトラップに陥ることがある事を理解しましょう。相手は「ゼム・トラップ」に陥り、あなたを責めているのかもしれません。あるいはカタストロファイジングに陥り、自暴自棄になっているのかもしれません。相手の言動に、相手の思考のトラップが隠れていないか、観察してみましょう。

もし相手の思考のトラップがわかれば、親しい間柄であれば、一緒に思考のトラップを抜け出す方法をトライしてもよいでしょう。自分にABCを書き出したように、相手にもABCを書き出してもらって、一緒に思考のトラップを抜け出すための話し合いをしてみるのも有効です。

特に子供に対しては、親の影響は大きいので、親が不必要な思考のトラップを子供に与えないように注意が必要です。子供の思考のトラップに気づいたら、早めにそのトラップを認識させ、抜け出せるように導いてあげましょう。

また職場で部下や後輩を指導する時にも、彼らが思考のトラップに陥っていないかを観察してトラップから抜け出すように指導すると、チーム力が高まり、仕事の効率がアップする傾向があります。

特に彼らの話に「ミー/オールウェイズ/エブリシング」関連の言葉が入っていないかに注意しましょう。「ミー/オールウェイズ/エブリシング」関連の言葉が頻繁に出てくるようであれば、その人が思考のトラップに陥っている可能性はかなり高いです。

自分が自分を助けたように、相手にもABCなどのレジリエンスのスキルを教えて、相手が思考のトラップから抜け出せるよう手助けしてあげましょう。

相手も無意識の中に「海の中の氷山」を持っているのでは?

相手に無意識の中の固定観念「海の中の氷山」があるのではないか?と思える時は、「私はあなたが何を考えているのか知りたい」「私はあなたがなぜそういう風に考えるのか興味がある」と伝えて、相手の心の奥に埋まっている「海の中の氷山」を探してみましょう。

ただ「海の中の氷山」はその人の過去の辛い経験やトラウマから作られていることもあります。あまり親しくない関係で相手の「海の中の氷山」をほじくり返すことは、相手をかえって傷つける恐れがあります。「海の中の氷山」探しは、家族や配偶者、恋人などの親しい間柄の中で行うほうがよいでしょう。

エンパシーempathyという言葉があります。「共感」「自己移入」という意味です。他の人の感情を想像して共感することです。「相手はきっと〇〇と感じているだろう」「もし自分が相手だったら、〇〇と感じるだろう」と考えることです。
レジリエンスのスキルを使うことは、このエンパシーの能力を高めることに繋がります。
エンパシーが高まれば、相手を傷つけたり、攻撃的なコミュニケーションを取らなくなります。

相手の思考のトラップや「海の中の氷山」の存在を理解するだけでも、その相手とのコミュニケーションが破壊的にならないようあなたが導くこともできますし、相手への思いやりを深めることができます。

レジリエンスのスキルを活用して、人間関係、他の人とのコミュニケーションを充実したものにしていきましょう。

家族とコミュニケーションを取る時に、相手が思考のトラップに陥っていないか注意してその言動を観察してみましょう。もし相手が特定の思考のトラップに陥っていたら、自分自身にABCを練習したように、相手にもABCで考えを書き出すことを勧めてみましょう。ABC全部が難しいなら、B自分の考えだけでも、紙に書き出してみるといいでしょう。

 

※Karen Reinvich博士の著作『The Resilience Factor: 7 Keys to Finding Your Inner Strength and Overcoming Life’s Hurdles』を参考にしています。

 

 

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