「ストレスを感じる」「ストレスだ~!」と、私達は「ストレス」という言葉を頻繁に口にしますよね。テレビを見ていても「ストレス」という言葉が頻繁に出てきます。
気をつけたいのは、「ストレス」と「ストレッサー」は違うということです。
ストレッサーStressorは、ストレスを生み出す出来事や状況です。
ストレスStressは、ストレッサーによって生み出される心理的、身体的反応です。
私達はストレッサーに遭遇すると、アドレナリンはコルチゾールなどのホルモンが出て、身体的、心理的に反応します。
ストレッサーは悪い出来事ばかりでありません。一見幸せな出来事もストレッサーになりえます。結婚、出産、昇進などのよい出来事も、ストレッサーになりえます。人間にとって、どんな形であれ、変化はストレッサーになる可能性があるのです。
そして、たとえ同じストレッサーに遭遇しても、受け手のストレスの程度や種類には、人によって違いが出てくるのです。
「レジリエンスを使って自分を変えていく方法」シリーズで紹介したABCと似ています。A出来事に対して、C結果を生む間には、B自分の考えが入っていると説明しましたが、ストレッサーとストレスの関係もABCと共通する点があります。
ストレッサーをどう捉えるか、受けとるかによって、ストレスの程度や反応が違ってくるのです。
この違いを生み出すポイントは3つの視点にあります。
- 自分がコントロールできると思うか、思わないか
- コミットメントを感じるか、感じないか(自分にとって意味があるものかどうか)
- チャレンジと受け取るか、脅威と受け取るか
自分がコントロールできるか、できないか
世の中のストレッサーのうち、地震、台風などの天災に対しては、自分がコントロールできることがありません。せいぜい防災の備えをするくらいです。天災が自分に起こらないようにはコントロールはできません。しかし、天災を除けば、たいていのストレッサーは、コントロールできるとは言い切れないがコントロールできるところもあるというグレーゾーンに入ります。ストレッサーに遭遇した時に、「自分がコントロールできることがあるだろうか?自分にできる行動はあるだろうか?」と考えてみて、自分ができる事があれば行動に移していくことで、受けるストレスの程度は軽くなっていきます。
コミットメントを感じるか、感じないか(自分にとって意味があるものかどうか)
仕事がストレッサーになっている場合、仕事は単なる仕事で、お金を稼ぐ手段でしかなく、可もなく不可もなくこなして勤労時間が過ぎればよいと思っている人と、仕事で成長したい、スキルアップに繋げたい、自分の能力を伸ばすために使いたいと思っている人とでは、同じストレッサーを受けても、ストレス反応は違ってきます。ストレスはストレスですが、後者はそのストレスを自分の肥やしにすることが可能です。ストレッサーから何かを学び取ってやろうという姿勢が、ストレスの程度を軽くします。
チャレンジと受け取るか、脅威と受け取るか
ストレッサーはたいてい何等かの変化です。変化がない人生や社会はありませんから、変化がすべてストレッサーになると、ストレスが膨大化し、心身がもちません。ストレッサーは新しい段階への変化を示していると捉え、自分にとって挑戦の場だと腰を据えることです。ストレッサーが嫌だ、怖いとだけ思っていると、ストレッサーに背中を見せて逃走しているだけで、ますますストレッサーが怖くなり、ストレスが大きくなります。
1回や2回は、ストレッサーから逃げ出してもよいでしょうが、毎回、一生、ストレッサーから逃げ続けることはできません。人生を通して、様々な、そして多くのストレッサーに遭遇するからです。ストレッサーから何かを勝ち取ってやる!タダではやられないぞ!という気持ちで、ストレッサーと戦うためにファイティング・ポーズを取ることも必要になります。このストレッサーから自分は何かを学べないだろうか、吸収できないだろうか、自分の役に立つことはないだろうか、ということを考えてみましょう。
一方、ストレッサーがあまりにも大きく、深刻であれば、ストレッサーと向き合う前に、気分転換したり、心を落ち着ける必要があります。「レジリエンスを使って自分を変えていく方法⑰ 緊急事態にはコーミングを使いましょう。」で紹介したコーミングを使ってから、ストレッサーに向き合ってみましょう。
「ストレスを感じる」と思ったら、まずストレッサーは何かを明確にし、ストレッサーに対して、①コントロールできるか?➁コミットメントを感じられるか?➂チャレンジと捉えられるか?の3点を自分に問いかけてみましょう。その後で感じるストレスは、少し緩和されていると思います。
※Karen Reinvich博士の著作『The Resilience Factor: 7 Keys to Finding Your Inner Strength and Overcoming Life’s Hurdles』を参考にしています。