気持ちを落ち着けるために心地よい場所でリラックスしている自分を想像するポジティブ・イマジネーションをコーミングの一つの方法として紹介しました。
対照的に、ネガティブ・ビジュアリゼーションという、ストレスフルな状況への対処法があります。特に職場で、苦手だなあと思う状況が予定されている時に有効です。
- 人前でプレゼンテーションをしなくてはならない。
- 上司と今後の昇進の可能性について話し合うことになっている。
- 気難しいお客様を訪問して、謝罪しなければならない。
このような、憂鬱になる、緊張する、苦しい気持ちになる状況。そのようなストレスフルな予定がわかっている時は、その事から目をそらすのではなく、逆にがっぷりと取り組むことも考えられます。そのための方法がネガティブ・ビジュアリゼーションです。
予想される困難な状況を、できるだけ細かくイメージします。頭の中で、映画を見るように、ビジュアル化していきます。そして、こうしたらこう、こうなったらこうしよう、とシミュレーションしていきます。
例えば、人前でプレゼンテーションをしなくてはならないケースで考えてみましょう。
緊張しやすい自分は、ステージに上がった途端頭が真っ白になる可能性があります。準備してきた話の内容が出てこなくて、言葉につまるのではないかと想像します。
そうしたら、どうしましょうか?言葉に詰まったら、とりあえず、まずは大きく深呼吸して、ニコッと笑顔を見せてみましょう。そして「今日はこのような機会を与えて下さりありがとうございます。皆さんの前でお話するということで、少し緊張しています」と、あえて自分が緊張していることを口に出してみてはどうでしょうか?これくらいの言葉なら、緊張していても、頭が真っ白になっても言えそうです。なぜなら、その時の自分の正直な気持ちですから。
冒頭の挨拶まではできたけれど、その後もまだ緊張して、うまく言葉が出てこないかもしれません。
その時に備えて、小さな紙に話すことを書いて手に持っておきましょう。多少たどたどしくなるかもしれませんが、話せなくなるよりも紙を見ながらでも話した方がましです。話すことを全部暗記するのは無理だと諦めて、紙を見ながらでもきちんと説明できるよう準備しておきましょう。
スクリーンにパワーポイントの資料を投影して説明していきます。しかし、なぜか、途中でマウスが反応しなくなりました。次のスライドに移れません。テクニカル・トラブルです。焦りまくることでしょう。
そのような場合に備えて、マウスの電池は大丈夫かチェックしておいた方がよいですね。そして、テクニカル・トラブルが起きた場合に備えて、ITに強いチームメンバーに傍にいてもらうようお願いしておきましょう。
説明が終わって、質疑応答になりました。すぐに答えられない質問が出てきます。答えられなくておどおどしそうです。
予想される質問については、前もって回答を調べておきましょう。そして、わからない質問については、きちんと調べてすぐに回答しますと答えようと決めます。そして、自分のプレゼンテーションに対して質問してくれたことに感謝して、「質問頂いてありがとうございます」と言い添えるようにしましょう。
もし、質問が全くでなくて、しーんとしてしまったらどうしましょう?
そういう場合に備えて、疑問に思われやすい点について、自分で質問を用意しておきましょう。「多分疑問に思われた方もいらっしゃると思うので、私から先に説明させて頂きます。3ページの集計結果についてですが・・・」と、質問が出ない時に備えて幾つか用意しておきましょう。
プレゼンテーションも質疑応答も終わりました。ほっとして脱力しますが・・・。
プレゼンテーションの終わりには、貴重な時間を割いて自分の話を聞いてくれた人達に対して、心をこめて感謝のお辞儀をしましょう。プレゼンテーションがうまくいったかいかないかに関わらず、大きな声で「貴重なお時間を頂き、どうもありがとうございました」と言うことにしましょう。
このように、困難や問題に直面すると前もって想定しておいて、その場合の対処法をあらかじめ考えておくのです。本番で、実際に困った事態に陥ったとしても、前もってシミュレーションしていたことであれば、「ああ、やっぱり、こうきたか。では考えていた通り、こう返そう」と、落ち着いて対応できます。
悪い想像や、ネガティブな結果ばかり想像することはあまり推奨できることではありませんが、自分にとって苦手なシチュエーションがはっきりしている時は、あえてネガティブな展開をビジュアル化して、対処法をシミュレーションしておくと、悪い想像が現実化しても慌てなくてすみます。