自分への7つの質問をして、その答えを書き出してみると、「いかにも自分らしい」と思える答えがあれば、自分でも意外に感じる答えもあるでしょう。
日々忙しい中で過ごしていると、自分の価値観や感謝の対象など考えもせずに目の前の作業を終わらせることであくせくしてしまいます。夏休みなどにじっくり時間を取って、自分に7つの質問をしてみることをお勧めします。
そして、書いた答えを見返えして、2つのグループに分けてみましょう。ユーダイモニア的か、ヘドニア的かでグループ分けしてみるのです。
ポジティブ心理学でいうユーダイモアとヘドニアは2種類の幸福感のことです。
ユーダイモニアは、セルフ・トランスセンディングself-transcending(自己超越)と言われ、自分だけに留まらず、周囲や自分を超越した存在にも働きかける種類の幸福感です。
へドニアは、セルフ・エンハンシング self-enhancing(自己強化)と言われ、自分の満足感や喜びにフォーカスした幸福感です。
ユーダイモニアは幸福感を感じるまでに時間がかかる事が多いですが、その分長続きする幸福感です。ユーダイモニア的な幸福感を味わうためには、試練や障害を乗り越えなければいけない事も多いです。
へドニアは即効性がありますが、短期間で消滅する事が多い幸福感になります。へドニア的幸福感を味わうことに障害は少なく、比較的簡単にアクセス可能な幸福感です。
7つの質問に対する、ユーダイモニア的な答えの例を挙げてみますと・・・
- 自分にとって何が大切か?→自分の仕事で環境保護に貢献できること。
- 誰が自分を頼りにしているか?→職場の仲間や、頼りにしてくれるお客様達。
- 誰が(何が)自分を励ましてくれているか?→お客様から感謝されること。
- どのような事に私は関心があるか?→どのように自分の仕事を社会へのメッセージにできるか。
- 何をありがたいと思っているか?→自分の仕事を通じて、社会に貢献できること。
- 毎朝起き出す時のモチベーションは何か?→社会に変革をもたらすような仕事の一部を担っている。
- 自分のことをどのように人に記憶してもらいたいか?→常に挑戦と感謝を忘れなかった人。
一方、へドニア的な答えの例を挙げてみますと・・・
- 自分にとって何が大切か?→自分がお金をたくさん稼ぐこと。
- 誰が自分を頼りにしているか?→子供。
- 誰が(何が)自分を励ましてくれているか?→競争心。
- どのような事に私は関心があるか?→出世のスピード。
- 何をありがたいと思っているか?→ボーナスの額が同僚よりも多い。
- 毎朝起き出す時のモチベーションは何か?→朝食。
- 自分のことをどのように人に記憶してもらいたいか?→仕事ができる人。
この2つの幸福感を比べた時に、充実感や達成感を伴った幸福感を味わえるのは、多くの場合ユーダイモニアの方です。ですから、ライフゴールを策定する時には、ユーダイモニア的な幸福感と結びついているゴールを多く持った方が、人生を長期に渡って充実させることになります。
だからといって、へドニア的幸福感が悪いというわけではありません。へドニア的なゴールもあった方がいいでしょう。楽しい、嬉しいという感情にすぐ結び付きやすいですから、長い人生、へドニア的幸福感も重要です。
ただ、7つの質問について書き出して答えをグループ分けした時に、全部へドニア的な事ばかりだったとなると、ちょっと問題です。享楽的、短期的な喜びだけを重視する人生観になっていることを示していますから。
ユーダイモニア的なゴールと、へドニア的なゴールの両方が混ざって、人生の目標が構築されている事が理想です。短期でへドニア的幸福感を味わいながら、長期でユーダイモニア的な大きなこ幸福感を噛みしめることができます。
もし7つの質問に対する自分の答えが、へドニア的な事ばかりであれば、もう少しユーダイモニア的な事を答えに入れられないか、考えてみましょう。
「へドニアとユーダイモニア 楽しければ幸せとは限らない!?」でも、へドニアとユーダイモニアの違いについて説明しています。心理学者のキャロル・リフが提唱するユーダイモニア的な幸福感を得るための6つの手段も紹介していますので、参考にしてみて下さい。
※ミシガン大学のVictor Strecher教授による講義「Finding purpose & meaning in life: Living for what matters me most」を参考にしています。