人間には様々な感情があります。楽しい、嬉しい、悲しい、腹が立つ、苦しいなど様々です。
感情を意識して管理するエモーション・マネジメント(Emotion Management)に、現在心理学の世界で大きな注目が集まっています。
離れ小島で一人っきりで暮らしているのでもない限り、人間は他の人間との関わりの中で生きており、そこに感情が生まれます。しかし、感情のままに行動したり、発言していれば、人間社会でトラブルが起きかねません。特に職場では感情を自分でコントロールする術を身に着ける事は、キャリアアップには欠かせません。
あるいは現代においては、たとえ離れ小島で一人っきりで暮らしていたとしても、インターネットが繋がっていればSNSやニュースサイトを見て、他の人に対する感情はかき立てられることでしょうね。
また、2020年から続いているコロナウィルス感染拡大による社会の変化、労働環境の変革、コミュニケーションの変容が、私達の中にネガティブな感情を作り出しているかもしれません。
そこで、最新の研究や調査に基づくエモーション・マネジメント(感情管理)の方法について、シリーズで紹介していきたいと思います。
エモーション・マネジメントが重要な理由は色々あります。
- 行動や記憶、学習能力に影響を与えます。恐怖の感情が危機から逃れるアラートになったり、わくわくする気持ちが探求するモチベーションを刺激したりします。
- 意志決定プロセスに影響します。いらいらしている時に決めた事が、実は自分の本意ではなかったということも間々あります。
- 関係性のクオリティに影響します。怒りや不満をぶつけ合う仲間や配偶者と過ごしているか、感謝と優しさをシェアしあう仲間や配偶者と過ごしているかで、人間関係の質は大きく変わってきます。職場に気に食わない同僚がいれば、その相手との仕事はどうもうまくいかないことが多くなりますよね。
- 心身の健康に影響します。いつも不安や恐怖を感じていれば、それは体にも心にも影響してきます。ストレスの度が過ぎると、うつ病を発したり、起き上がれなくなってしまうこともあります。
- 創造性に影響します。常に好奇心を持っていたり、向学心に満たされていると、新しいアイディアを思いつきやすくなり、クリエイティブになります。
感情を管理するといっても、感情を無理に抑制したり、無視するのではありません。自分の感情をよく観察して、その感情をどう扱うかのスキルを身に着けていくことが大切です。感情をデータとして扱うのです。
次回は、感情をデータとして扱う方法を紹介していきましょう。
※イエール大学の「Managing Emotions」の講義を参考にしています。