「Name it to tame it」という英語の格言があります。「手なづけるために名づける」という意味です。厄介な事はまずそれが何かを見極めて名前をつけて明確にすることで、解決に近づくという意味です。
これは厄介な感情についても言えることです。ネガティブな感情については、まず、どういう感情なのか、何を感じているのか、正確に理解して、名前をつけます。もやもやした目に見えない感情の正体を見極めるのです。
人間には何種類の感情があると思いますか?諸説ありますが、ブリュネ・ブラウン博士(Brené Brown)はその著「Atlas of the Heart: Mapping Meaningful Connection and the Language of Human Experience」の中で、人間には87種類の感情があると説明しています。
「私は怒っている」と思っても、その感情をよく見ていくと「怒り」ではなく「恥」あるいは「嫉妬」あるいは「心配」かもしれません。
ポジティブな感情についても同じ事が言えます。「嬉しい」という感情は実は「プライドが満たされている」あるいは「愛情を感じている」「感謝している」という感情なのかもしれません。
自分が感じている感情を正確に把握しましょう。特に怒りや不安などのネガティブな感情は、本当に感じている思いが底の方に隠れている場合が多くあります。自分は本当に何を感じているにか、できるだけ客観的に感情を観察し、見極めましょう。
ブリュネ・ブラウン博士は状況によって感じる87種類の感情をリストアップしています。ネガティブな感情について状況別にどのような感情を感じやすいか、彼女の挙げている87種類の感情を挙げましたので見ていきましょう。(日本語訳は私の意訳です)
物事が不確定、あるいはたくさんの事がありすぎる状況では
- ストレスを感じる
- いっぱい、いっぱいだと感じる
- わからないことが不安
- 先のことが心配
- 逃避
- 恐怖
- 嫌なことが起こる恐れ
- 興奮
- 自分は弱いと感じる
物事がうまくいかない状況では
- 退屈
- 失望
- (別の)期待
- 後悔
- 落胆
- あきらめ
- フラストレーション
嫌な事に直面した状況では
- 怒り
- 軽蔑
- 嫌悪
- 憎しみ
- 人間性の否定(他人がひどい目にあっても当然だと思う)
- 自己擁護(自分は悪くない)
比較する・比較された状況では
- 見劣り感
- 賞賛
- 畏敬
- うらやましい
- 嫉妬
- 怒り
- いい気味だという他人の失敗、欠点をあざ笑う感情
- 他人の幸せを喜ぶ感情
傷ついた状況では
- 苦悩
- 無力感
- 絶望
- 悲しい
- 悲嘆
自分の力が不足している状況では
- 恥ずかしい
- 自己への哀れみ
- 完璧志向
- 罪悪感
- 屈辱
- 戸惑い
このように、一つの状況から生まれる感情は様々です。まずは、自分の感じている感情は何のか、正確にname it 名付けましょう。そして、自分がその感情を今感じているという事に気づいてあげましょう。
※ブリュネ・ブラウン博士の状況別87種類の感情については、英語ではありますが、一覧にまとめられてWEB上に公開されています。