自分に感情があるように、他の人にも感情があります。レッド、ブルー、イエロー、グリーン。それぞれのカラー・グループの感情を他の人も日々感じています。当たり前のことですが、この当たり前のことを私達は時々忘れてしまいます。以下に挙げるように、自分の感情に目を向けることができても、他の人の感情には気づかない、あるいは無視している時があります。
- 他の人がどう感じているか注意を払わない。(例:お葬式で自分の悲しみばかり訴えて、相手も同じように悲しんでいることに気づかない。)
- 他の人の感情をコントロールしようとする。(例:自分が誰かに腹を立てているから、相手にも同じように怒ってほしい。)
- 他の人ではなく、自分がどう感じているかで判断する。(例:相手は失敗にめげず、頑張ろうとしているのに、自分が失望しているから相手にも諦めさせようとする。)
- 特定の感情ばかりに目をむける。(例:相手がいつもいらいらばかりしていると決めつける。)
- 他の人の感情を観察しているうちに自分の感情にスイッチが入って、自分の感情に埋没してしまう。(例:相手が失恋してショックを受けているのを見て、自分の失恋を思い出し、相手に構わず自分の失恋の悲しみに集中してしまう)
このような傾向がある人は、他の人の感情を見誤りやすい、無視しやすいことがあります。それが結果的に、その人との関係を傷つけたり、信頼し合える関係を築きにくくします。感情の共感、エンパシーを感じにくくします。
自分の感情だけでなく相手の感情にも気づくことで、相互間の信頼、共感は高められ、人間関係は深まります。エモーション・マネジメントは、リレーションシップ・マネジメント(関係性の管理)でもあるのです。
他の人の感情を理解する時には次の工夫をしてみましょう。
- 相手の感情がムード・メーターのどの部分に属する感情か判断する。(可能ならばムード・メーターを見せて、どの部分の感情を感じているか尋ねる)
- 相手が繰り返し感じている感情や、特定の感情パターンがあるか見極める。(激しく怒った後、自己嫌悪に落ち込むなど)
- 相手の感情の背後に、どういうストーリーや背景があるのか考える。
- 相手の感情について聞いてみる。
最後の「相手の感情について聞いてみる」時には、セッティングが大切です。場所とタイミングは大事です。静かに落ち着いて話せる場所、相手が話せる気分である時に、相手の感情について質問してみましょう。そして質問はするけれど、あくまでも自分は「聞き役」に回りましょう。相手に感情を理解したいと思っているという意志を、聞く態度で示しましょう。
この「聞き役」の時に、相手に伝えると効果的なフレーズは次のようなフレーズです。
- (あなたが〇〇〇だと)私は最近気づいたのだけれど・・・。
- 何が起こったのか話してみて。
- 私は聞いているから、話してみて。
- あなたの感じていることを私は知りたいの。
- あなたが気を引かれていることは何?
- あなたは〇〇〇ということを言っているようだけど、それで正しい?
- 〇〇〇だった(相手の言った事を繰り返す)。この理解で合っている?
- あなたは〇〇〇について、どう感じたのか教えてくれる?
「聞き役」であるために有効なフレーズを使って、相手に感情を話してもらい、理解するようにしましょう。相手の感情を理解するためには、まず聞くことです。
※イエール大学の「Managing Emotions」の講義を参考にしています。