相手も自分と同じように様々な感情を抱いている事を大前提にして、ストレスや問題を抱えている相手と話し合う時に大切なポイントはエモーション・マネジメントになります。
特に職場で同僚や部下に対して話し合う時、あるいは先生的立場の人が教え子と話し合う時、あるいは親が子供と話し合う時、エモーション・マネジメントをしながら、相手の感情も理解し、相手が困難な感情を抱えている状況から抜け出す手助けをする事が重要になってきます。
- 仕事で失敗した部下に「何をやっているのだ!」と怒鳴る。
- 先生が生徒に「馬鹿だなあ、こんな事もできないの!?」と嫌味を言う。
- 親が子供に「塾をさぼって悪い子ね!お金が無駄になるでしょ!」と叱る。
このようなシチュエーションは日常生活の中でありそうですが。目上的な立場の人が自分よりも立場の弱い人に、自分の感情をぶつけることを優先させています。エモーション・マネジメントができていないということです。
問題を抱えてる立場の人、特に自分よりも弱い立場にいる人に対して向き合っていくシチュエーションでは、5つのポイントを心掛けましょう。
まずは自分のエモーション・マネジメントをする。
まず自分の感情を吐き出さないよう、自分のエモーション・マネジメントをします。自分の感情や感想は自分の胸にとどめて、まずは聞き役に回ります。
相手が感情を吐露できるよう促す。
どういう感情を抱いているか、その感情が起きた背景を、相手が話すように持って行きます。相手が落ち着いて話せる場所を選ぶ、水や温かい飲み物を与える、外を一緒に散歩するなど、相手が話しやすい環境を整えます。そして「エモーショナル・マネジメント⑨ 自分だけでなく他の人にも感情はあります。エモーショナル・マネジメントはリレーションシップ・マネジメントです。」で紹介したように、効果的なフレーズを口にします。
解決策を一緒に話し合う。
今の状況から抜け出す、あるいは問題ある状況を解決するために一緒に考えて方法を探してみます。相手と一緒に解決に向けて話し合い、解決策を見つけていきます。自分の考えを押し付けるのではなく、なるべく相手からアイディアを出してもらうようにします。
「次に何ができると思う?」「この状況を変える方法について聞いたことある?」「あなたはいいアイディアをよく思いつくから、今回の事でも何かアイディアを持っているのではない?」等と話しかけ、相手が解決策を探す方向に導きます。
ポジティブに会話をクローズする。
話し合いの場を持てたこと感謝していると、相手に伝えます。「話してくれてありがとう」「あなたがどう感じているかわかってよかった」という言葉を伝えます。
そして一緒に考えた解決策のアイディアにつき、フォローアップすることを約束します。「もしこのアイディアを試してみて上手くいかなかったとしても、また一緒に他のアイディアを考えてみましょう」「もしあなたが違うアイディアを思いついたら教えてね」等と伝え、「私はあなたのその後を見ている」「フォローアップする」というメッセージを伝えます。
実際にフォローアップする。
少し時間を置いて、アイディアを試してどうだったか相手に聞きます。新たな問題が起きていないか、相手に話してもらいます。
困難な感情を抱えている相手の話を聞いて解決策を探す行動は、その相手にとって大きな助けと救いになることが多いのです。
それに、職場や学校や家庭で長い時間を共にする相手が、レッドやブルーのカラー・ゾーンの感情ばかりを抱えていたら、一緒の時間を過ごす自分の感情にも悪影響です。
エモーション・マネジメントは、自分だけの感情管理に集中するのではなく、周囲の人々の感情管理も手助けすることで、より効果的になります。
“Helping one person may not change the world. But it could change the world for one person.”
(一人の人を助けたからといって世界は変わらないかもしれない。しかし、その一人の人にとっての世界を変えることはできるかもしれない。)
というフレーズがあります。
周囲の人のエモーション・マネジメントを助けることは、自分が誰かの役に立つという自己肯定感をアップさせる事にも繋がります。
※イエール大学の「Managing Emotions」の講義を参考にしています。