コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、「毎日オフィスに出勤して働く」というワーキング・スタイルが変わってきました。テレワーク、リモートワークで勤務する人達が急増しました。毎日テレワークではなくとも、週に半分はテレワーク、あるいは対面の会議の時だけ出社するというケースも増えてきています。
2022年6月にはNTTグループが、日本全国どこからでもリモートワークにより働くことを可能とする制度(リモートスタンダード)を導入することを発表しています。つまり、出社ではなく、自宅を中心としたオフィス以外の場所でのリモートワークが標準勤務形態となるわけです。テクノロジーの発展により、リモートワークが中心になる勤務形態はNTTグループ以外の企業にも広がっていくでしょう。これは日本だけのトレンドではなく、世界的な流れになっています。
リモートワークは家族との時間が取りやすい、ワークライフバランスを取りやすい、出勤時間がないため時間を有効活用できる等のメリットがあります。
一方で、仕事に集中できない、気が散る、テレビやSNSやインターネット等の誘惑に勝てない、なかなかエンジンがかからくて結局出勤時よりも残業が増える等の、デメリットもあります。
そこで、自宅勤務でも仕事に集中して効率よくタスクを進めるために、ポモドーロ・テクニックを試してみましょう。
ポモドーロ・テクニックは、イタリアのフランチェスコ・シリ氏がタスクを効率よく進めるテクニックとして提唱したもので、世界中の職場や学習の場で実践されています。ポモドーロはイタリア語のトマトのことで、シリ氏がトマトの形をしたキッチンタイマーを使って実験したことから、ポモドーロ・テクニックと名付けられています。
ポモドーロ・テクニックの方法は以下の通りです。
- タイマーを使う。
- 25分タスクに集中して5分休憩する。これが1ポモドーロ。
- 25分タスク集中+5分休憩の1ポモドーロを4回繰り返す。
- 4回繰り返したらリワード(報酬)として30分休憩する。
- タスクを25分内に完了できるよう、仕事を小さいタスクに分解しておく。
- ポモドーロ中の25分間はそのタスクだけに集中するため、テレビ、SNS、メール、インターネット等の誘惑を遠ざける。
- 5分の休憩時間にはタスク以外の事を楽しんでよい。メールに返信する、コーヒーを飲む、背伸びをするなど。ただし、絶対に5分以内にするために5分の休憩時間もタイマーをセットする。
- 4ポモドーロ終わった後のリワードの30分休憩時間には、歩く、掃除をする、料理をする、ダンスをする等、体を動かして楽しめる行動を取るとよい。
「25分しかない」「25分だけ集中すればよい」と思うと、人間はかなり一つのタスクに集中できるものです。1時間や2時間集中せよと言われると、仕事であれ勉強であれ、なかなか難しいですが、25分であれば可能な気がしませんか?
また、25分の間に完了できるよう、あらかじめ仕事を小さいタスクに分解してリストアップしておく事も大切です。例えば新商品を紹介するプレゼンテーション資料を作るという仕事があるとします。これは25分間では完了は難しい仕事でしょうから、小さいタスクに分解します。
- ポモドーロ1:新商品の特徴を文章にする。
- ポモドーロ2:プレゼンテーション資料の構成と各ページの見出しを決める。
- ポモドーロ3:前半の資料を作る。
- ポモドーロ4:後半の資料を作る。
このように、4つのタスクに分解し、4ポモドーロで一区切りつけられるように工夫します。
次に、休憩時間ですが、5分の休憩時間は短いため、その間にインターネットを立ち上げたり、SNSをチェックし始めると、5分で終わらない場合がありますので注意が必要です。30分の休憩時間の時にしましょう。ただ、30分の休憩時間はリワードですので、自分が楽しいと思える行動を取った方がお勧めです。
ネットサーフィンやSNSを見る事が楽しくてしょうがないというならば別ですが、なるべくであれば体を動かすような行動を取った方が気持ちがリフレッシュできます。少し散歩をしたり、ベランダでヨガをしたり、YouTubeを見ながらダンスしてみる等、自分へのご褒美になるような休憩の取り方をしましょう。
ポモドーロ・テクニックは、仕事だけでなく、資格試験の勉強にも有効なテクニックです。
※McMaster Universityの Barbara Oakley 教授の「Mindshift」の講義を参考にしています。