グーグルが2012年に実施した興味深いプロジェクトがあります。その名も「プロジェクト・アリストテレス」。
色々なタイプのチームを構成して、どのチームが最も生産性が高いかを調査したものです。
同じレベルの教育水準で揃えたチームか?
頻繁に飲み会や食事会に行き、交流を深めたチームか?
同じような特徴のメンバーで揃えたチームか?
同じ給与水準のメンバーで揃えたチームか?
様々なメンバーの組み合わせを試して、どのような特色のあるチームが最も生産性が高く、結果を出したかを調査しました。
結論は「心理的安全性 Psychological safety」だったのです。心理的安全性が確保されたチームが、最も高い生産性をあげました。
心理的安全性とは、チームのメンバーが
- 互いに敬意を持って接している
- 特定のメンバーだけでなく、全員がチームに何等かの役割を持って貢献している
- 意見をお互いに遠慮なく言える
このような行動が取れることです。
すべてのチームメンバーが心理的安全性が確保されていると感じると、生産性が高まり、そのチームの進める作業が成功する確率が高まったのです。
この心理的安全性を作るためには共感力(empathyエンパシー)が重要です。
相手の立場に立って物事を考える事ができたり、相手の感情を読み取る能力です。
共感力が高いメンバーが揃うと、心理的安全性がそのチーム内に作られ、チームの調和、結束が高まり、活発な意見交換がされ、共通のゴールに向かって協力し合っていきます。
では、共感力を高めるにはどうしたらよいのでしょうか?
心理学者のKendra Cherry氏によると、次のような行動が共感力を高めるとしています。
- 相手の話を積極的に聞く(途中でさえぎらずに)
- 言葉以外のボディランゲージから発せられる相手の感情を読み取るようにする
- 反対意見を言う人の話もちゃんと聞く
- 自分がその人の立場だったらどう感じるだろうと想像する
- 相手との違いに着目するのではなく、似た所や共通点を探す
スターメンバーがいなくても。強力なリーダーがいなくても。輝かしい高学歴のメンバーがいなくても。共感力があるメンバーが集まり、心理的安全性が確保されると、そのチームの有効性は高まるわけです。あるいはメンバー同士で共感力を高めるように努力していくと、チームの生産性が高まるともいえます。
仕事は自分一人ではできないことがほとんどで、他の人との協働作業が必要になります。いつでも、どこでも、他の人とのチームワークは重要です。チームワークの要は共感力による心理的安全性であると覚えておきましょう。