仕事内容は同じだけれど、今務めている会社を変えたい。
会社を変わりたいわけではないけれど、違う部署に異動して違う職種に就きたい。
今の仕事にやりがいが見いだせない。もっと面白そうな業界に変わりたい。
もともとなりたかった職業がある。今の仕事を辞めて、夢だった職業にチャレンジしてみる。
今の職場がどうしても嫌だ。ここから抜け出したいから、会社を変わりたい。
今の職場を変わりたいと思う時、その理由は人様々です。
しかし、その職場でうつ病の兆候などメンタルヘルス的な問題を抱えている場合を除き、転職する前に、第三の道がないか少し考えてみましょう。
今の仕事を辞める、あるいは辞めない、のオールorナッシングの白黒発想でなくてもよいのです。
仕事を辞めたい、変わりたいと思う時の理由は様々としても、実際に転職する前に、試してみたい3つのアプローチがあります。
- ダブル・アプローチ(dabble approach)
- ダブルライフ・アプローチ(double-life approach)
- コントラリアン(contrarian)
です。
ダブル・アプローチ
ダブル・アプローチは水鳥が水かきをするように、今の仕事を続けながらも、新しい仕事に関することを少し試してみる事です。
例えば、事務職についていた自分が、営業職に変わりたいと考えていたとします。急に営業部署に異動願いを出す前に、自分が営業職に本当に向いているかちょっとだけ試してみるのです。例えば、営業職に大事なスキルとされる交渉術。心理交渉術スペシャリストの資格の勉強をしてみて、対面で交渉するためのテクニックを学んでみます。それが面白く、自分に合っていると思うのなら、営業職への転職も無謀な挑戦ではないかもしれません。実際、私は、金融会社に勤めていた頃、営業職についていましたが、心理交渉術スペシャリストの資格を取るためにした勉強が、顧客との交渉の場で大変役に立ちました。
ダブルライフ・アプローチ
ダブルライフ・アプローチとは、現在の仕事を続けながらも、副業や兼業で、他のやってみたい仕事を平行させる事です。前に紹介した「パイ・アプローチ」と似ています。
最近では週休3日制を導入する企業もあり、副業を認める企業も増えてきています。やってみたい仕事をするために、現在の仕事を辞めなくてはいけない、というわけではないかもしれないのです。
例えば、アクセサリーデザイナーになってオンライン販売してみたいと思っているとします。現在の仕事は営業アシスタントで週5日勤務。残業も多く、平日は疲れてアクセサリーデザインを考える余裕はありません。アクセサリーデザイナーになるためには今の仕事を続けていては無理・・・と決めつけるのではなく、週末の休日だけ、アクセサリーデザインの仕事をしてみるという、副業から始める方法があります。オンライン販売ならば、ホームページやオンライン販売のプラットフォームを利用すれば、平日は今の営業事務の仕事をしながらでも、アクセサリーデザイナーの仕事は平行できます。オールorナッシングの発想になる必要はありません。
コントラリアン
コントラリアンは、対抗アプローチのことです。こんな仕事をしたい、こういう夢を追いたいと親や配偶者、あるいは親しい友人に話したとします。すると「せっかく安定した職業についているのだから夢みたいな事を言うのはやめなさい」「その年齢でその職業って無理がありすぎるだろう」などと、多くの場合は反対意見を聞くことになるでしょう。
人間は習慣や安定が大切な生物ですから、自分と親しい関係の人間には変わってほしくないという思いが働きます。相手が変化、しかも仕事を変わるというような大きな変化を望んだ時、自分を取り巻く環境が変化する事を恐れて、多くの場合は、その変化を止めようと相手にも同じでいることを望み、変化しないように働きかける傾向があるのです。
その反対意見を無視すべきということではありません。反対意見をよく聞いて、その反対意見を打ち消すことができるか、根拠やデータを探していくのです。
例えば、中学校の教師をしている自分が、心理学を勉強し直したいから大学院に入り直したいと考えているとします。配偶者にそれを伝えると、「大学院に戻ったら給料がなくなるからお金はどうするのだ。生活が苦しくなる」と反対されたとします。配偶者の見解は、確かに正しい部分があります。教職から大学院性になれば収入はなくなりますので、生活費は今よりも少なくなります。この反対意見に対抗するために何ができるか?を考えます。まず大学院の授業料は自分で払えるようその分の貯金を確認し、足りなければ、まずは授業料を賄えるだけでの貯金を貯めるまでは教職を続けるという判断もあるでしょう。生活費が少なくなるという事については、大学院生であればアルバイトができるかもしれないのでそれで補完するという方法もあります。配偶者の反対意見に対抗する方法をクリエイティブに考えて、配偶者と話し合っていきます。
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転職についてはこのような美辞麗句が宣伝されていますが、必ずしも事実ではありません。
今の仕事を変わりたいと思う時には、今の仕事を辞めるか辞めないかの二択ではなく、上記の3つの選択肢も考えてみましょう。
※McMaster UniversityのBarbara Oakley博士の「Mindshift」の講義を参考にしています。