やろうと思っている事ができない。
やらなければいけない事をつい延期してしまう。
先送り癖は英語ではprocrastinationプロクラスティネイションといい、心理学の研究分野の一つになっています。プロクラスティネイションだけに特化している研究者も数多くいます。それだけ人間は先送りの癖があるわけですね。
この先送り癖を改善する方法について提唱したPiers Steel氏の「The procrastination equation」 は有名で、先送り癖を解決するためには3つのアプローチが重要だとしています。
- Increase expectation 期待の増加
- Decrease impulsiveness 衝動の減少
- Increase value 価値の増加
そして、この3つのアプローチをどのように進めていくかについては、プログラム・マネジメント・アナリストのAlex Vermeer氏が作成したチャートが有名です。
彼はフリーでこのチャートをインターネット上に公開しているので、誰でもそのチャートをダウンロードして使うことが出来ます。(ただし英語です)
https://alexvermeer.com/wp-content/uploads/howtogetmotivated-7100×5000.png
Vermeer氏のチャートを基に、先送り癖を解消するための3つのアプローチに沿った具体的な行動を紹介していきましょう。
期待の増加
そのタスクを終えることで得られる喜び、結果を想像して、タスクを達成したらこういうよい事があると期待を膨らませます。
- そのタスクを完了したら得られるよい結果を書き出して認識する。
- そのタスクを終えるための計画を作る。
- そのタスクを終わらせる意味を考える。
- そのタスクを終えるための行動を1個だけする。
- そのタスクを終えない場合の悪い結果と、終えた場合のよい結果を比較する。
衝動の減少
そのタスクを避ける衝動を減らします。
- タイマーを5分間セットして、5分間だけタスクに取り組む。
- タスクを避ける誘惑のなる物を身の回りから遠ざける。(テレビの電源を抜く、スマートフォンを別の部屋に置く等)
- 決まった時間になったらそのタスクに取り組む習慣をつける。(9時になったら机の前に座る等)
- 一人になり、そのタスクに集中する。
価値の増加
そのタスクを終えることの意義を高めます。
- そのタスクを終えることによって、それまでの自分に比べ、どのように進歩できるのか。
- そのタスクを終えることで、周囲の人はどのように反応するか。
- そのタスクを終えるたら、自分の生活や仕事がどのように改善するか。
- そのタスクを終えたら〇〇〇をしてよいというご褒美を自分で設定する。(掃除を終えたらケーキを食べてよい等)
- そのタスクを終えなくても問題ないかを検証する。
- そのタスクを終えるための十分なエネルギーを蓄えるために睡眠時間を十分取る。
一度に全部の行動を起こす必要はないのですが、3つのアプローチから1個ずつ、合計3つの行動を選んで進めていくと、期待の増加、衝動の減少、価値の増加と、バランスよく先送り癖を改善することになり、有効性が高まります。
ずっと先送りにしていたタスクを一つ片づけると、喜びと快感、自分にもできたという達成感、自己肯定感が味わえます。その気持ちを繰り返したくなります。
ですから先送りにしてきた事をまずは1個だけ片づけてみましょう。
終了したら、記録をつけておく事もお勧めです。
先送りしていて気になっている事を全部紙に書き出し、1個ずつ取り組んで、終了したら完了マークをつけていくと、自分の進捗度合いを目で確認できます。