スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック(Carol. S, Dweck)博士等によって発表されたグロースマインドセット(Growth mindset)とフィックスドマインドセット(Fixed mindset)の違い。
心理学のみならず、教育分野、そしてビジネスで成功するための秘訣として大きな注目を集めました。
マインドセットとはビリーフ、心の持ち様、信じている事、信念といえます。
ドゥエック博士の研究によると、人間はフィックスドマインドセットを持つタイプとグロースマインドセットを持つタイプに分けられ、グロースマインドセットを持っているタイプは、学業でも仕事でも人間関係でも成功し、充実した人生を送る確率が高いとうことなのです。
グロースマインドセットとは簡単にいうと「人は変われる」「自分の人生を自分でよりよく変えていける」と信じるタイプです。
対照的に、フィックスドマインドセットは「人は変われない」「人生や遺伝や生まれた時の環境や運で決まり、自分ではどうしようもない」と信じるタイプです。
グロースマインドセットの人は「人は変われる」と信じますから、努力や綿密な計画によって成功を得られると信じます。そして変わっていくためには今の位置にずっといるのではなく、チャレンジをし続けなければいけないと考え、努力し、多少のリスクを取っていきます。
フィックスドマインドセットの人は「人は変われない」と思っているので、努力してもどうせ無駄、こういう環境に生まれた自分が成功するはずないと考え、努力を怠り、嫌だと思っていても今いる状況から抜け出そうとしません。新しい事にチャンレンジしようとは思いません。
この2つのマインドセットは、最初は小さな違いしか生まないかもしれませんが、人生の時間が長くなるに従い、どんどん大きな差を生み出していきます。
例えば以下のような例を見てみましょう。
【ケース1】塾に通うお金がない時に勉強をどうするか
フィックスドマインドセットのタイプ
生まれ育った家庭がお金に余裕がなく、塾に通えないから、どうせいい大学には入れない。無駄な努力する必要はない。
グロースマインドセットのタイプ
生まれ育った家庭にお金に余裕がなく、塾に通えないけれど、その分学校の教科書を完璧に勉強する事で自分の入りたい大学に挑戦しよう。学校でも補習を行っているし、わからない事は学校の先生に徹底的に聞こう。
【ケース2】環境保護のボランティア活動に参加するかしないか
フィックスドマインドセットのタイプ
新入社員で入った会社で、環境保護のためのボランティアを募集していたが、仕事を覚えるのに大変でボランティアどころではないし、知らない人達と日曜日に活動するなんて億劫だから参加しない。
グロースマインドセットのタイプ
新入社員で入った会社で、環境保護のためのボランティアを募集していた。仕事は覚える事がたくさんで大変だけれど、環境保護の活動は気分転換になるかもしれない。それに多くの人と知り合いになれるかもしれない。日曜日にテレビを見て過ごしているよりも面白そうだから参加してみよう。
【ケース3】英語の資格試験に挑戦するかしないか
フィックスドマインドセットのタイプ
会社で英語の資格を取った人を海外研修に送ることになった。英語は話せないし、資格試験は難しそう、どうせ無理だからやめておこう。
グロースマインドセットのタイプ
会社で英語の資格を取った人を海外研修に送ることになった。英語は話せないし、資格試験は難しそうだけど、いい機会だから英語の勉強にチャレンジしてみよう。海外研修に行けないとしても、英語力を身に着けることができれば、仕事のチャンスは広がると思う。
グロースマインドセットのタイプの方が、人生においてチャンスを掴み、成長する機会を得て、充実感を味わえる気がしますよね?
グロースマインドセットのタイプは、フィックスドマインドセットのタイプに比べ、人生の折々で、チャレンジしてみよう、変わってみよう、努力しようという方向を選ぶ傾向があるのです。それだけ、フィックスドマインドセットの人に比べ、成功や変化の機会を得やすいのです。機会の数が多ければ、確率的にいっても成功を得る機会が増えるわけです。
1ヵ月に10回しかバッターボックスに立たないバッターよりも、1ヵ月毎日、しかも1試合4回づつ、つまり120回バッターボックスに立つバッターの方が、ヒットを打つ回数は増えますよね。成功する確率を増やしていくために、まずバッターボックスに立ってみよう、そしてバッターボックスに立てるように努力しよう、と思える心の在り方が、グロースマインドセットなのです。
嬉しい事に、このグロースマインドセットは、生まれつきや遺伝ではありません。後天的にグロースマインドセットを身に着けることができます。次回はグロースマインドセットのタイプになる秘訣を紹介しましょう。