怒りを感じた時、少し時間が取れるようなら、怒りを分解してみます。
自分一人になれる場所で、白い紙やノートに、自分の怒りについて書き出していきます。
- 怒りを感じた状況
- なぜ怒りを感じたのか
- ①と➁に書いた内容を見て、本当に怒りを感じる必要性があるのか
- 怒りに対して、自分にできることがあるか
例えば、こういうケースを考えてみましょう。
職場で会議中に同僚から「そんなことも知らないの?」と言われたとします。あなたはムカッ!としました。同僚に対して怒りの感情が沸きました。そこで「そんな言い方ないでしょう!」「どういう意味ですか!」などと言葉を返すと、怒りに対して怒りで返し、更に嫌な気持ちになりますし、会議の場もぴりぴりするでしょう。
そこで、まず口をつぐみます。あるいは「はい、知りませんでした」と事実だけ返して黙ります。
そして、会議が終わった後、なるべく早く自分一人になれる時間を取り、白い紙を自分の前に置いて書き出してみます。その時には、最初に感じた怒りが増幅されて、黒々とした怒りの渦が心の中に生まれているのかもしれません。少し深呼吸をして、気持ちを落ち着けて書いていきましょう。
- 怒りを感じた状況
同僚Aが人前で自分を無知だと批判した。 - なぜ怒りを感じたのか
人前で無知を批判された。恥をかかされた。同僚Aはいつも人を見下した言い方をす
る。同僚Aのことが嫌いだ。 - 本当に怒りを感じる必要があることか
同僚Aに指摘された通り、私はその情報を知らなかった。だから「知らないの?」と言
われても、知らなかったのは事実だ。そしてその情報を、同僚Aが知っていたのも事実
だ。それは認める。でも、同僚Aはあんな言い方をしなくていいだろう。人前で私を侮辱しなくてもいいだろう。同僚Aはいつも言い方がきつい。同僚Aに対して怒りを感じても当然だろう。 - 怒りに対して自分ができることはあるか。私はその情報を知らなかったことは事実だから、そこを怒っても仕方ない。だからそこはもういい。でも、同僚Aの言い方には怒りを感じる。同僚Aのきつい言い方を直してもらいたいが、私にAの言動をコントロールすることはできるだろうか?多分できない。私にできることは、知らない情報があれば、今度から素直にそれを認めて「知りませんでした。教えて下さい」と言おうか。Aのようにきつい言い方を自分がしないように、Aを反面教師にしようか。私はAからきつい言い方をされて怒りを感じた。自分がAみたいな言い方をしないようにしたい。
④の段階まで書いていく頃には、怒りの感情は大分クールダウンして、理性が戻ってきていると思います。あれほど激しく感じていた怒りだけれど、冷静になってみると、そんなに怒らなくてもよいのではないかという気持ちにもなると思います。
「書く」という行為は、論理的な行為です。怒りという感情を論理に転換していくわけです。書くという作業によって、自分の怒りに少し冷静に向き合えるようになるのではないかと思います。
そして、同僚Aに対して自分ができることについてもアイディアが出てきました。今度同じような状況になったら、そのアイディアを試してみることです。自分が前回よりもレベルアップして、怒りに対する処理法がうまくなっていると感じることができるのではないでしょうか。
怒りの感情を持ってはいけないということではありません。怒りの感情は誰しもが持つ感情です。でも、怒りは、相手よりも自分自身を傷つける感情です。また、相手にぶつけることにより、リピートしたり拡大してしまいやすい感情です。ですから、怒りについて、自分なりのコントロール法を作っていくことが、実は自分自身の心を守ることになると思います。
書くことで怒りという感情を論理に変えていきましょう。怒りに対して自分ができることが見えやすくなってきます。