オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

セルフコントロールと喜びを後回しにする力で、誠実性は培われます。

マシュマロ実験という有名な心理学の実験があります。
スタンフォード大学の心理学者のウォルター・ミシェルが、スタンフォード大学付属の幼稚園の4歳を対象に行った心理実験です。子供を何もない教室に1人ずつ通し、椅子に座らせ、目の前にマシュマロを1個置きます。そして「15分間マシュマロを食べずに我慢したら、もう1つあげる。でも、15分の間にマシュマロを食べてしまったら2個目はあげないよ」と言って、子供たちを1人にします。そして子供が、マシュマロを食べてしまうか、15分待って2個目のマシュマロをゲットしようとするかを調査しました。マシュマロを食べずに15分間我慢して2個目のマシュマロをゲットした子供は、全体の3分の1だったそうです。
そして実験から18年後の1988年、マシュマロ実験を受けた子供たちの追跡調査と大学進学適性試験(SAT)が行われ、マシュマロを15分間食べずに我慢して2個目のマシュマロをゲットした子供達は大きくなってからも自制心があり、SATの試験の点数においても、マシュマロを我慢できずに食べてしまった子供達よりも平均点が高いという結果になりました。

この実験により、幼児期の知能の高さよりも、マシュマロを食べずに我慢できた自制心の強さや弱さが、その後の試験の点数に影響すると結論付けられました。

その後この実験には、子供達の環境が影響している等の反論も出されています。実際、同様のマシュマロ実験をバージョンアップさせた実験も行われており、子供達をがっかりさせた後にマシュマロ実験を行う場合と、喜ばせた後でマシュマロ実験を行う場合では、結果に差が出るなど、このマシュマロ実験はもっと多面的に調査すべきだという意見もあります。

しかし、このマシュマロ実験とその後の追跡調査は重要な示唆を与えてくれています。人間の「セルフ・コントール」(自制心)と「喜びを後回しにできる力」が、物事に対する反応を改善させることができるという点です。
これは人間の「誠実性」(conscientiousness)という重要な人間の特質に結び付いています。

誠実性とは何に誠実なのかというと、自分の目標や仕事に誠実なことです。成功したビジネスパーソンを調査してその共通点を探った時、「誠実性」が大きな特徴として浮かび上がってきたのです。
この「誠実性」という特質を築いているのが、「セルフ・コントロール」「喜びを後回しにできる力」です。

4歳の子供ではないですが、私達の目の前には毎日マシュマロのようなものが置かれています。
締め切りが迫っている仕事があるのに、SNSを見たくなってしまう。
体重を落とさないといけないとわかっているのに、ケーキ屋さんに入ってしまう。
試験勉強をしないといけないとわかっているのに、テレビのスイッチを入れてしまう。
いろいろなマシュマロが存在しています。

その時に、「セルフ・コントロール」と「喜びを後回しにする力」を使うことができるかどうか。それが「誠実性」を育てていきます。

「誠実性」というと大それた能力が必要な気がしますが、実は日々の生活の中でのちょっとした行動によって培う事が可能なのです。
目標を達成するために、自分の行動を改善できるとしたら何か? 一個だけ選んで、それを実行します。
できたら、もう一個、改善できる事を選んで実行します。

改善できる事は、多くの場合、「テレビを見るのを我慢する」「遊びにいくのを我慢する」「お菓子を我慢する」「ネットサーフィンを我慢する」等の、ちょっとした我慢を必要とするでしょう。その我慢をのり越えることで「喜びを後回しにする力」を身に着け「セルフコントロール」を鍛えていきます。それが、「誠実性」を養うことに繋がっていきます。

「誠実性」は、心理学でいう「ビッグ・ファイブ」の一つです。
ビッグ・ファイブ理論は、「人間が持つさまざまな性格は、5つの要素の組み合わせで構成される」とする考え方です。「ビッグ・ファイブ」の5要素は、「外向性」「調和性」「誠実性」「神経症的傾向」「経験への開放性」の5つとされています。(ただ研究者によって多少違いがあります)。「誠実性」は、人間の性格を決めていく重要な要素の一つなのです。

 

※University of MichiganのPaula. J.Caproni博士による講義「The science of success」を参考にしています。

 

 

 

 

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