前回「ストレス・マネジメント⑤ オーストラリアの幸せを感じるための8つのステップ」でオーストラリアの公共放送、Australian Broadcasting Corporationが、国民に幸せや充実感を人生に感じてもらう方法として紹介した8つのステップについて書きました。その一つが「感謝する」ことです。
毎日、小さなことでよいから、感謝する対象を見つける、ありがたいなあと思う事を日記やノートに書く「感謝」の練習をする事は、自分が不幸ばかりではない、ストレスばかりではないと認識する上で重要です。
ポジティブ心理学でも、ポジティブな感情を培う効果的な方法として、一日の終わりに感謝する事を3つノートに書いていく事を勧めています。
しかし、いざ、感謝する事を書いてみようとしてもなかなか思いつかない場合があります。特にストレスに苦しんでいる時には感謝する事なんて全然見つからない!という気持ちになる事もあります。
感謝する事、感謝の対象を見つける事も、練習や経験が少し必要なのです。ポジティブ心理学ではGratitude Practice(感謝する練習)といって、少し慣れが必要であるとしています。
感謝する対象を見つける事に慣れていき、感謝を日常生活の一部にするためには、次のような方法を試してみましょう。
暮らしの中でありがたいと思う事を5つ挙げましょう。
住む所がある事、健康である事、お給料を貰えている事、家族が健康である事、食べたい物が食べれる事、寒くない事など、普段当たり前のように思っているけれど、それがなくなったらとても困る事に感謝しましょう。
あなたの人生の中でありがとうと思える人を挙げましょう。
なぜその人に感謝するのか理由を書いてみましょう。例えば、両親。両親がいたから自分がこの世に誕生したわけです。あるいは配偶者。喧嘩もするけれど配偶者がいてくれるおかげで家族が築けます。
自分が持っている能力やスキルでありがたいなあと思う事を挙げましょう。
視力が良い事、絶対聴覚ともいえる耳を持っている事、足が速い事、笑顔が素敵だと言われる事、声が柔らかくて聞きやすいと言われる事など、自分が既に持っている能力やスキルで、ありがたいと思う、持っていてよかったと思える能力を挙げましょう。
今住んでいる街の素敵な点を挙げましょう。
緑一杯の公園が近くにある事、桜並木がある事、治安がよい事、頼りになる交番の警察官がいる事、おいしいパン屋さんがある事など、住んでいる場所のよい点を挙げましょう。
自分が持っている物でありがたいなあと思う物を挙げましょう。
冷蔵庫、洗濯乾燥機、エアコン、空気清浄機、パールのピアス、ipadなど、これがあるとありがたいという物に感謝しましょう。
ストレスに押しつぶされそうな日でも、嫌な出来事ばかりで最悪の日だと思う時でも、上記の中のどれかには感謝の気持ちを感じられると思います。感謝の対象を見つけ出して、ノートに書きましょう。
また、感謝する事を書いているつもりが、いつのまにか「行った事」や「しなければならなかった事」を書いている場合があります。スケジュール帳とは違うので、あくまでも感謝する対象を書いていきます。
どのような状況でも、感謝する対象を見つける、感謝する対象に関心が向けられる事が、心の耐性を強くし、ストレスに負けない気持ちを形成していきます。
※The university of Sydneyの講義「Positive Psychiatry & Mental Health」を参考にしています。