問題や苦しい状況に直面してストレスを感じ、怒りを爆発させてしまう、いらいらする、逃避行動に走るなどのストレス反応を起こす時に、前回説明したストレス反応の4つの段階のどこかで、「ちょっと待てよ」と自分のストレスの元に対する反応を意識して観察できれば、反射神経的に起こしてしまうストレス反応を変えていくことができます。
特に2の「認知と評価」の段階で、ストレスの元に対する考え方を変えていく可能性を探ることが大切です。
その時に「決めつけ」の考え方を避ける事が重要です。
仕事で忙しくなると、すぐいらいらして周りに当たり散らし声を荒らげるストレス反応をする自分がいるとします。
この時に「私は怒りっぽい人だから」と決めつけてしまえば、「怒りっぽい人」という軌道に乗ってストレス反応を作ってしまいます。
「私は時々怒りっぽくなる」「私は怒りっぽくなることもある」と、いつも、絶対そうではなく、時々、場合によってはそうなると、他の可能性も残しておきます。これは頭の中で考えてもよいのですが、言葉に出して言ってみるとより効果的です。
「時々怒りっぽくなる私」は、仕事の忙しさでいらいらしていますが、だからといって周りに当たり散らすのではなく、他の行動も選択できるのです。
仕事が忙しくていらいらしている。それではいらいらの気持ちを少しでも鎮めるために深呼吸してみる。やらなくてはいけない仕事を全部書き出して、優先順位をつけ、今日やらなければならない事だけを集中して片づける、同僚に助けを求めたり、家族に事情を説明して家事を代わってもらう等、仕事が忙しい→いらいらする→怒りっぽくなり周りに当たり散らすという、いつも取ってきた行動を修正する事も可能なのです。
自分をこうだと決めつける心は、フィックスド・マインドセットから来ます。自分は変わらない、自分はこの範囲内だけの能力しかない、自分は変われないなどという考え方です。
フィックスド・マインドセットと対照的なのがグロース・マインドセットです。自分は変化していく、変われる、成長できる、今はこの状態だけれど可能性を伸ばしていけると信じる気持ち、考え方です。
グロース・マインドセットの考え方に基づけば、ストレスの元に遭遇しても、いつもと同じストレス反応を起こさなくてもよい、いつもとは違った行動を選択できるようになります。
そのためにも、ストレスの元と遭遇したら、ちょっと立ち止まって、無意識なストレス反応を起こす前に、4つの段階を意識して、ストレスの元にどう反応するか考えてみましょう。
フィックスド・マインドセットと、グロース・マインドセットについては「グロースマインドセットで人生が変わっていきます。」「グロースマインドセットの人になるためにはYETの力を利用しましょう。」で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
※The university of Sydneyの講義「Positive Psychiatry & Mental Health」と、Rice University Dr. Elizabeth Slatorによる講義『Mindfulness & Well-being』を参考にしています。