ストラクチャード・プロブレム・ソルビング(SPS)の2つ目のステップは、ブレインストーミング。ブレインストーミングの方法にも色々あります。一つの方法がルート分析で、問題がなぜ起きているかを突き詰めていく方法です。前回はルート分析のうち5Whyという方法を紹介しました。今回はマルチプルWhyというルート分析の方法を紹介したいと思います。
問題がなぜ起こっているかを考えた時に、その理由が一つではなく、複数の理由が存在して絡み合っている場合があります。マルチプルWhyというルート分析はそのようなケースに有効です。
例えば前回の例で「会社に行く事が憂鬱」でストレスを感じている場合、その原因が「職場の上司が嫌だから」とはっきりしている場合は、5Whyで直線的に5つの「なぜ?」を繰り返していく事がルート分析としては有効です。
しかし、「会社に行く事が憂鬱」の原因が「職場の上司が嫌だから」「自分の営業成績がふるわないから」「職場が遠くて通勤時間が長いから」と複数に散らばっている場合、マルチプルWhyのルート分析を試してみるのも一つの方法です。
「会社に行く事が憂鬱」
↓Why?
①職場の上司が嫌だから。→Why?「私の仕事を評価してくれないから」→Why?・・・
➁自分の営業成績がふるわないから。→Why?「新規の契約を取れないから」→Why?・・・
➂職場が遠くて通勤時間が長いから。→Why?「通勤時間に1時間かかるから」
「会社に行く事が憂鬱」という問題に対して、①➁➂の3つの理由が存在するならば、その3つの理由それぞれにつき、3~5回Why?を繰り返していきます。
いろいろな理由が浮かんできたら、①➁➂の中の理由に共通項があるかもしれません。
例えば「①職場の上司が嫌だから」という理由を分解していったら「自分の営業成績がふるわないから」という理由に行きつき、「➁自分の営業成績がふるわないから」という理由に回帰するかもしれません。そうなると、「会社に行く事が憂鬱」の原因は「職場の上司が嫌だから」が本当の理由ではなく、「自分の営業成績がふるわないから」が本当の理由かもしれません。本当の理由がわかったら、それに集中してWhy?を繰り返して、なぜそうなのか?を探っていきます。
あるいはWhy?を繰り返しているうちに、それ以上進まずストップしてしまう場合もあるかもしれません。
例えば「➂職場が遠くて通勤時間がかかるから」という理由を掘り下げていくと、結局「家が職場から遠いから」という距離的な問題に帰結するかもしれません。すぐに会社の近くに引っ越せる、あるいは家から近い職場に変わる、という解決策はあまり現実的とはいえないでしょう。そこで、ルート分析は行き詰まってしまうかもしれません。その場合は、そこでとりあえず止めておきます。
ステップを進んだ後で、もう一度振り返ってみることにして、一時保留にしておきます。
マルチプルWhy?で、問題を引き起こしている複数の理由を見つけて書き出す事が、ステップ2では重要です。