ルート分析で問題がなぜ起こるのか、理由について書き出していったら、次にデータ収集を行います。問題を作り出している様々な理由を解決していくために役立つ情報を集めにいくのです。
プロブレム・ソルビングに有効なデータ収集の方法として、代表的な方法は3つあります。
Gembaワーク
Gembaは日本語の現場です。問題が起きているその場に、実際に身を運んで、状況を自分の目や耳で確認することです。よく企業で起きている問題を上役の人達が会議室で議論することがありますが、それよりも問題が起きている現場に上役の人達が訪ねていって、現場で働く人達の意見を聞くことが重要だという、日本企業の改善プロセスから来ています。個人の問題解決でもこのGembaワークは役立ちます。
前回挙げた例で「上司は同僚のA子の仕事ばから評価する」ことが会社に行く事が憂鬱だと感じている問題の理由の一つだとすると、本当に上司はA子さんの仕事ばかり評価しているのか、観察してみましょう。一週間のうち、上司がA子さんを褒めた回数を記録する、逆にA子さんを叱責した回数を記録する、自分が褒められた回数を記録する、あるいは上司が職場の誰を褒めているか記録するなどです。問題が起こっているその現場で、状況を客観的に観察してみましょう。
プロセス・マッピング
その問題が起こっている過程、プロセスを記録してみましょう。
フローチャートで書いていくとわかりやすいでしょう。
例えば「新規の契約が取れていない」という理由が、会社に行くことを憂鬱にさせている一つの要因だとすると、その状況が起きているプロセスを書き出してみましょう。
直近の6か月間新規の契約が取れていない。
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見込み客に商品の提案をする機会がなかなかない。
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見込み客とのアポイントメントがなかなか取れない。
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見込み客との接触回数が減っている。
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見込み客の数がここ一年間増えていない。いつも同じ見込み客だ。
このように問題の理由が起きている過程を書き出していくと、問題解決の糸口が見つかることも多いのです。
フォーカス・グループ
自分以外の人の意見を聞いてみます。信頼できる友人、上司、同僚、先輩、あるいは家族など、その問題に関係がある人達に、自分の問題について相談して、アドバイスを求めてみます。
また問題に関して信頼できるレポートや本、研究報告があれば読んでみます。最近はインターネット上でも高いクオリティの情報やスキルがアップされています。
あるいはもしあなたに信頼できる同僚や友人がいれば、自分の抱えている問題について⒑個の質問を作って、その人に聞いてみる質問状という方法もあります。
気をつけたい点は、データ収集を自分以外の存在から行いますが、それがそのまま自分の意見とはなるとは限らないことです。この段階では、あくまでも、問題解決のためのデータ収集のリソースを広げるという意味で、自分以外の情報ソースからデータを収集しましょう。
例えば「同僚のA子さんのプレゼンテーションは確かに素晴らしい」と思っているのなら、同僚や先輩にA子さんのプレゼンテーションをどう思うか聞いてみる、あるいはA子さん本人に素晴らしいプレゼンテーションをするためにどういう準備をしているのか聞いてみる、あるいは成功するプレゼンテーションの方法についての本を読んだり、ネットで情報を検索してみる等の方法があります。
データ収集で気づいたこと、問題解決のヒントになりそうな事はノート等に書いておきましょう。次のステップ3で使うことになります。