オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ネガティブ感情の対処法

書いて解きほぐすネガティブ感情シリーズ⑩ 責任再配分技法で自己嫌悪から抜け出す

問題が起こった時、自分ばかり責める人がいます。認知のゆがみでいうと「ミー・トラップ」に陥っていて、何でもかんでも自分が悪かったと必要以上に自分を責め続け、自分の能力や価値を否定してしまう人がいます。

書いて解きほぐすネガティブ感情シリーズ① 「認知のゆがみ」を発見する認知のゆがみ...

そこまで極端ではなくても、悪い事が起きた状況に対して自分のせいだ、自分が悪いと自分を責めることで悲しく辛い感情をずっと引きずっているケースがあります。
責任感が強い事は美徳でもありますが、ずっと自分を責めて、自己嫌悪に陥っているならばそこから抜け出しましょう。

それには「責任再配分技法」を使ってみます。
起きた問題の原因は何なのか、考えてみましょう。
円を描いて、問題の原因をその中に書いてみましょう。原因はたいてい一つではなく、複数あります。つまり自分に原因があることもあるでしょうが、他の人や状況が原因であることも多いのです。

例えばあなたが配偶者とお金の使い方について口論となり、配偶者は怒って朝食を途中で止めて、仕事に出ていってしまったとします。あなたは自分の話し方が悪かったか、言葉がきつかったかと自己嫌悪に陥って自分を責めます。配偶者が帰宅するまで、ずっと口論の事を考えて憂鬱なままです。
あなたは今回の口論は100%自分が悪いと思っています。

でも、本当にそうでしょうか?「責任再配分技法」で考えてみましょう。

この口論の原因は何でしょう?

  1. 配偶者が予算以上にお金を飲食使ってしまい、今月の家計が赤字になった。
  2. 配偶者からその事について説明がなかった。
  3. 家計を赤字にしないように気をつけなければいけないという自分の話を配偶者は聞いてくれなかった。
  4. 私の口調は配偶者を責めるような厳しい言葉だった。
  5. 配偶者が仕事に出かける前の忙しい時間で話を切り出してしまった。

こうしてみるとあなたに原因があるとしたら④⑤で、あとは配偶者が原因ではないでしょうか?円で描けば60%が配偶者が原因で、40%があなたが原因ということになります。
それならば、あなたが今回の口論について罪悪感や自己嫌悪を強く感じる必要はないのではないでしょうか?

問題の原因の60%が配偶者にあるならば、配偶者にまず行動や考えを改めてもらいたいところですが、配偶者といえども他の人間です。他の人間の行動や考えを変えさせる事には大きなエネルギーが必要ですし、いつも可能とは限りません。

ですからまず、自分が原因と思っている④と⑤については、改善できる事があれば行動しましょう。自分の行動と考えなので、自分だけで変えることが出来ます。

④→次に話をする時は、責めるような口調を止めて、冷静に、家計を赤字にしないように気を使っている事を配偶者に話してみよう。二人の将来のためにお金の管理は大切である事を認識してもらおう。

⑤→仕事に出かける準備で忙しい朝ではなく、週末時間がある時に話をするようにしよう。

責任再配分技法により、自分を責めることや罪悪感に浸ることにエネルギーを使うのではなく、問題の原因を分析し、その原因をどう扱うかという方向にフォーカスを移していけます。そして自分が原因となっている事については、自分で変えていくためにどうしたらよいのかを考えて、行動に移していきます。改善するための行動にシフトできれば、あなたは罪悪感や自己嫌悪から抜け出し、自ら問題解決へ向けて行動しているという自己肯定感を抱くことができるでしょう。

※このシリーズでは、デイビッド・D・バーンズ氏、アーロン・T・ベック氏の研究、著作を参考にしています。

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