やらなければいけないとわかっている事を先送りにして、ずっと頭の中でその事を考えている。すべき事をできない自分を自分で批判し、自己嫌悪に陥る。
先送り癖は私達にネガティブな感情を抱かせる困った習慣ですが、直していく方法はあります。その一つの方法「ぐずぐず主義克服ノート」を前回紹介しましたが、もう一つの方法を紹介しましょう。先送りする事のメリット、デメリットを書き出すのです。そして、メリットとデメリットの点数をつけて、どちらが多いか比較してみます。
前回の例「交通費の精算をしないといけない」とわかっているのに、つい先送りしてしまう場合」で考えてみましょう。
交通費を月末までにやらないといけない。交通費のレシートが引き出しの中にしまっている事はわかっている。でも業務が忙しくて手をつけられない。しかし、実際には時間はあることもわかっている。交通費の精算が面倒だという思いが頭にこびりついている。このような状況にあなたは置かれているとします。
交通費の精算を先送りするメリット
- 面倒な作業を避けることができる。
- 他のもっと重要な仕事に時間を割ける。
交通費の精算を先送りするデメリット
- 月末の精算締め切りが過ぎたら、経理部から叱責される。
- 交通費の精算締め切りを過ぎた事が過去も数回ある。経理部からだらしのない社員だと思われるかもしれない。社内の評価に影響するかもしれない。
- 交通費の精算をしなければ、その分自分のお金の持ち出しになる。
- 引き出しにレシートが乱雑に入っていて、引き出しを開けるたびに嫌な気分になる。
- 交通費の精算をする事もできない自分が嫌になる。
それぞれ書き出した後、1項目を10点として点数化してみます。
- 交通費の精算を先送りするメリット:20点
- 交通費の精算を先送りするデメリット:50点
こうしてみると「交通費の精算を先送りする事」のメリットよりもデメリットの方が多いことを数字で認識できます。自分にとってのデメリットが多いのですから、先送りをやめて取り掛かろうと思うこともできるでしょう。
もう一つ、デメリットには触れずに、メリットだけを考える方法もあります。先送りしている事を先送りせずに片づける事のメリットを考えます。
「交通費の精算を先送りせずに片づける事」のメリット
- ずっと気にかかっていた作業を片づけてスッキリするだろう。
- 経費の締め切りを守れて安心するだろう。
- 経理部に叱られなくて済む。
- 引き出しの中のレシートの山が消えて、スッキリするだろう。
- 交通費が精算されて自分の元にお金が戻ってくる。
先送りを止める事で得られるメリットを書き出し、先送りしている事を片づけるモチベーションを自分で見つけるのです。
大切な事は、メリット、デメリットは、頭の中で考えるだけでなく、ノートや紙に文字で書き出す事です。文字に書き出す事で、メリット、デメリットがはっきりします。
先送りしている事があれば、
- 先送りする事のメリット、デメリットを書き出し点数化して比較する
- 先送りせず片づける事のメリットを書き出して確認する
ことをしてみましょう。
※このシリーズでは、デイビッド・D・バーンズ氏、アーロン・T・ベック氏の研究、著作を参考にしています。