オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ネガティブ感情の対処法

書いて解きほぐすネガティブ感情シリーズ⑬  先送り癖にはスモールステップで対抗する

やらなければいけないとわかっている事を先送りにして、なかなか取り掛かれない。すべき事をできない自分を自分で批判し、自己嫌悪に陥る。そのような先送り癖は私達にネガティブな感情を抱かせる困った習慣です。
前回、前々回と、先送り癖を直す方法を紹介しました。もう一つ「スモールステップ」を使う方法を紹介しましょう。

やらなければいけないけれど、なかなか手を付けられない作業を、10~15分以内で終わる小さな作業に分解します。一つの作業を、複数の小さな作業、スモールステップに分解するのです。そして、一つのスモールステップを終えたら、そこで止めます。あるいは、終わらなくても15分が経過したら、作業をストップします。

これは、着実に作業を進めるために有効な方法です。すぐ終わりそうな小さな作業ならば、あるいは15分以内で済む作業ならば、それだけはやってみようと行動に移しやすいからです。

先送り癖を直そうとする時、その作業に取り掛かる気分になるまで待つ、あるいは自分のモチベーションが高まるまで待つという事は、先送り癖を増長する要因になります。気分に任せていても、先送り癖は直りません。気分よりも、行動に出る事こそ、先送り癖を直す最も効果的な方法です。

しかしながら、ずっとぐずぐずと先送りしていた作業に取りかかる事は心理的ハードルが大きいので、まずは小さく、簡単で、完了しやすいスモールステップの行動から取り掛かりましょう。

例えば前回の例「交通費の精算を先送りしている」場合でいえば、交通費の精算と一言でいっても、幾つかの作業が必要になってきます。一回10~15分以内に住む作業に分解して書き出しましょう。そして予想される作業時間を書いておきましょう。

  1. 机の引き出しにたまっているレシートを月日順に並べる(10分)
  2. 経費精算ソフトにレシートの半分の交通費を入力する(15分)
  3. 経費精算ソフトにレシートの残り半分の交通費を入力する(15分)
  4. 入力し忘れ、間違いがないか確認し、提出(10分)

経費精算ソフトに交通費を入力する作業は一度に行うことも可能かもしれませんが、ここはあえて15分以内に時間を限定し、作業を2回に分けます。
15分以内で完了する作業だとわかっていれば、取り掛かりやすくなります。

実際に取り掛かってみたら、予想した時間よりも短く終えることができるかもしれません。
その場合は、実際にかかった時間も書いておきましょう。
次回同じ作業をする時に、15分かかると思った作業が前回は8分で終わったから、今回も10分以内に終わるだろうと予想できて気持ちが楽になります。

逆に、15分で完了できると思った作業が15分以内に終わらなかった場合、15分経ったらそこで一度作業を中断します。そして、続きは次回の15分以内の作業にします。予想以上に時間がかかった場合も、実際にかかった時間を記録しておきましょう。15分で終わると思った作業が時間内に終わらなかったら、次回は作業を更に細かく分解して、一つの作業が15分以内に収まるようにしましょう。

スモールステップの作業を繰り返しているうちに、その作業に慣れ、どれくらいの手間がかかるのか、時間が必要なのかを学習していきます。そうなると、その作業を先送りする癖も解消していくと思います。
今回は交通費の精算を例にしましたが、他の先送りしている作業でも同様の方法が使えます。

スモールステップに分解して作業を15分以内で進めていくと、一度にすべて終わらせるよりも時間はかかるかもしれませんが、行動に移しやすく、着実に作業を前へ進めることができます。

先送り癖の最大の敵は、面倒だなあ、やりたくないなあと思い行動に移さない事ですから、自分を行動に移しやすくするためスモールステップを活用しましょう。

※このシリーズでは、デイビッド・D・バーンズ氏、アーロン・T・ベック氏の研究、著作を参考にしています。

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