恋人にふられて外出なんてしたくない。
試験に落ちて部屋に閉じこもっている。
仕事に失敗して何もする気が起きない。
もう楽しいことなんてない。楽しい気分なんて味わえない・・・。
暗い穴の底にいるようで、じっと膝を抱えていたくなる気分。
そんなネガティブな感情を抱える時も、長い人生の中にはあります。
しかし、暗い穴の底にしばらくいたら、そこから抜け出すための方法を考えてみましょう。
永遠に泣いたり、悲しんだり、嘆き続けていられるほど、人生は長くはないのです。
そのために、「満足予定表」を使ってみましょう。
自分がこういうことをしてみたら楽しいのではないか?気持ちが明るくなるのではないか?という行動を書き出し、予想される満足度を書いてみます。そして、実際に実行した後の満足度も書いて比較してみます。
行動は、誰かと一緒にしなくてはいけないわけではありません。一人で行動しても十分楽しみは見つけられます。
ノートに
- 日付
- 楽しくなるかもしれない行動
- 誰かと?あるいは一人で?
- 予想される満足度
- 実際の満足度
を書きます。
例えば、失恋したばかりで外出する気にもなれないAさんがいたとします。何をしても楽しくないし、恋人がいないと楽しめないと嘆いています。しかし本当にそうでしょうか?
「満足予定表」を書いてみましょう。
- 3月10日
- 映画館に見たかった映画を見に行く
- 一人で
- 予想満足度:30%(一人で映画を見てもつまらないのでは)
- 実際の満足度:90%(映画の内容に没頭できて、二人で見るよりも深く味わえた)
- 3月15日
- 自分のためにアップルパイを焼く
- 一人で
- 予想満足度:50%(お菓子は好きだからおいしく焼けたら嬉しいだろう)
- 実際の満足度:100%(レシピを見ながらアップルパイを手作りする時間は楽しく、うまく焼けて自信がついた。他のパイも焼いてみたくなった)
- 3月18日
- 有名店のおでんを食べに行く
- 女友達と二人で
- 予想満足度:40%(おでんは好きだけど、女友達と行ったら恋話になるかもしれないから辛いかも)
- 実際の満足度:100%(女友達は失恋した私を気遣ってくれたみたいで恋話はまったくでなかった。おでんはおいしく、温かい食べ物を食べて元気が出た。いい気分転換になった。女友達に感謝)
- 3月20日
- 職場のカラオケ大会に参加
- 職場の同僚達と
- 予想満足度:80%(歌って大騒ぎすれば気分が晴れるのでは)
- 実際の満足度:30%(なんだか皆のノリについていけなかった。大騒ぎして浮かれる気分ではなかったかもしれない)
予想される満足度と実際の満足度を比べて、ちょっとした感想も書いておきましょう。
それほど楽しめないと思った行動も、実際には意外と楽しいと思うかもしれませんし、その逆もありえます。
予想以上に実際には楽しめた行動には、自分を活気づけるヒントが含まれているかもしれません。
Aさんは映画を一人でじっくり見ることが楽しいと思い、映画ブログを書こうとするかもしれません。あるいは色々なパイを焼くようになり、パイを焼くことが趣味になるかもしれません。または自分を気遣ってくれる女友達の優しさに触れ、そういう友達がいる事に感謝が沸いてくるかもしれません。
暗い穴の底にいると思っていたAさんにも、まだまだ楽しいことや、感謝したい対象がある事に気づくでしょう。
「満足予定表」を書くと、よし、実際の満足度はどうか比べてみようと、実験を行うような気持ちになりやすく、それが行動を起こすきっかけにもなります。
また、自分が本当に好きで楽しいと思う事は何なのかを発見する手助けにもなります。
「もう楽しいことなんてない・・・」と気分が暗くなっている時こそ「満足予定表」を書いて、行動に移してみましょう。
※このシリーズでは、デイビッド・D・バーンズ氏、アーロン・T・ベック氏の研究、著作を参考にしています。