AIいっても人工知能のことではありません。Appreciative Inquiry:アプリシエイティブ・インクワイア―、「価値を見出すための問いかけ」のことです。
問題に遭遇した時にストラクチャード・プロブレム・ソルビング(SPS)によって問題を解決していく方法を以前紹介しましたが、SPSとは対極的な問題解決の方法を紹介しましょう。それがAppreciative Inquiry、AIです。
Appreciativeは感謝や価値を見出すという意味。Inquiryとは問いかけという意味です。
最近企業風土や組織強化の有効な方法として注目されている方法です。職場以外にも、家族、友人、学校、あるいは自分自身にも使える方法です。
組織で問題が起きると、その問題の原因を突き詰め、問題をどうやって解決するかというプロブレム・ソルビングにフォーカスする傾向があります。プロブレム・ストラクチャード・ソルビングはその有効な方法です。
しかし、AIでは、問題ではなく、「何ができているか」「どのような能力があるか」「優れている点は何か」という「強み」にフォーカスしていきます。
- どのような要素が努力が報われる結果をもたらすだろうか。
- よい結果をもたらすための新しいアイディアは何だろうか
- 新しいアイディアを実践するための変化を共に作り出すためにはどうしたらよいか
- 組織を改善して自分達の能力をアップするために協力していく方法は何だろうか
この4つの点にフォーカスした問いかけを自分自身あるいは組織に行っていく方法です。
例えば業務ミスを3回連続で起こしてしまったチームが職場にいるとします。プロブレム・ソルビングでは業務ミスを起こした原因を特定し、なぜ、誰が、どの時点でミスを起こし、チームの何が問題かを特定し、それを排除あるいは改善しようとします。
一方、AIは、業務ミスを起こしたチームはどのような強みを持つチームなのか、チームメンバーの特長は何なのか、業務ミスをなくすためにチームでできる事は何なのか、チームメンバーそれぞれができる事は何なのかを検証していきます。
組織や自分の実態と可能性を分析する時にSWOT分析がよく使われます。
- S:Strenght強み
- W:Weakness弱み
- O:Opportunities チャンス、可能性
- Threat:脅威、リスク
の4点から現状を分析することです。しかしSWOT分析をした後は、W弱みとT:脅威にのみ注目しがちです。対照的にAIはS:強みとO:可能性にフォーカスします。
AでIは、
- Appreciate(価値を認める)今有しているベストの部分を認めて価値を認識する
- Imagine(想像する)現状はどういう状態になっているのか想像する
- Design(デザインする)どのような状態になった方がいいのかあるべき姿を考える
- Create(創り出す)あるべき姿になるための方法を考える
という4つのプロセスで、組織や自分自身を、目指す方向へと引っ張っていきます。
その4つのプロセスにおいて重要なのがInquiry問いかけです。そしてどのように問いかけるかがAIのキーになります。
次回はAI式問いかけのポイントを紹介しましょう。
※Case Western Reserve University の講義「Leading positive change through Appreciative Inquiry」を参考にしています。