職場で感じるストレスを減らすために個人のレジリエンスを鍛える事が効果的であり、まずはダイレクト・レジリエンス・ファクターを4種類のストレスの元(ストレッサー)別に、鍛えていきましょう。大きなストレスの元を一度にすべて解決しようとしても無理があります。ストレッサーごとに、1種類づつ解きほぐしていきましょう。
私達に(主に職場で)ストレス反応を引き起こす元になるストレッサーには以下の4種類があります。
- タイム・ストレッサー(時間に関係)
- エンカウンター・ストレッサ―(人間関係)
- シチュエーション・ストレッサ―(職場の環境に関係)
- アンティシぺイション・ストレッサー(予想する事に関係)
まずはタイム・ストレッサーについて見ていきましょう。
時間に関してストレスを感じる要因になる物がタイム・ストレッサーです。
- タスクの締め切りに追われて焦る
- 会議の時間が長引いて嫌になる
- タスクが終わらずに残業続きになる
- ミーティングの時間に遅れないかどきどきする。
これらが代表的なタイム・ストレッサーです。
タイム・ストレッサーが増える、あるいはタイム・ストレッサーを受けて過剰なストレス反応を起こすケースに共通する点は「自分が時間をコントロールできていない」という感覚です。
人間は「自分がコントロールしている」と感じる事にはあまりストレス反応を起こさないおのです。
「自分が時間をコントロールしている」という感覚を取り戻しましょう。
自分の時間の使い方をチェックする
そのためにまず、自分がどのように時間を使っているかをチェックし記録しましょう。
私達は慣習的に時間を使うので、自分がどのような事に時間を費やしているか意外とわからないものなのです。
朝起きて夜寝るまで、仕事以外の時間も含めて、自分がどのように時間を使っているか、まる一日の過ごし方を紙に書き出してみましょう。あるいはアプリを使って記録してもよいでしょう。これを1週間続けてみます。
時間を自分でどのようにコントロールできるか考えてみる
自分が何に時間をどれくらい使っているか、事実を確認しましょう。そして「時間がない」「時間に追われている」という状態をなくすために、自分の時間をどう使えばいいか考えてみましょう。
- 時間がないと思っていたけれど、実は朝テレビを見てだらだらしている時間が30分もあって、その30分を使って仕事を早く始めれば、残業はしなくて済むかもしれない。
- 仕事量が多すぎて残業続きになると思っていたけれど、ランチの時間に1時間まるまる取っていたのを30分仕事に回せば、5日間で150分、2時間半の時間を仕事に回せることになり残業しなくても済むかもしれない。
- どんなに集中して仕事しても締め切り前の日は残業になってしまう。そこは仕方ないと思おう。でも締め切りが終わった翌日は早く退社することでバランスを取ろう。
- この集計作業はエクセルを使ってもっと短時間でできるのではないか。
1週間分のスケジュールをたて、その通りに過ごそうとしてみる
仕事は複数人数で進めることが多いですからすべてが自分の計画通りに進まないかもしれませんが、1週間分のスケジュールをきちんとたて、なるべくその通りに過ごすようにしてみましょう。自分が時間をコントロールしているという感覚を取り戻すのです。
スケジュール通りに過ごせた時間は一日24時間のうち何時間くらいあるでしょうか?
100%はなかなか難しいかもしれませんが、60%、70%スケジュール通りに過ごすことができたら、その分はあなたが自分で時間をコントロールできているということです。
一方、実際に使った時間がスケジュールと異なっていたら、それをスケジュール帳に書き込んでおきましょう。
次の週のスケジュールをたてる時の参考になりますし、自分が時間を取られてしまうのはどの作業の時か理解できます。
自分が仕事に打ち込んでいたゴールデンタイムを記録する
とても忙しくてハードな仕事だとしても、自分が夢中になって打ちこんでいると時間も忘れてしまうことがありますよね。残業になり夜遅くまで働いたとしても、自分がどうしても通したい企画の提案書を書いていたとしたら、長い時間働いても自分にとって満足がいく充実した時間になるかもしれません。時間があっという間に過ぎたような、あるいは時間が止まったような感覚を感じることがあると思います。ポジティブ心理学ではそのような時間と心理の関係をフロー状態といいます。そのような時間のゴールデンタイムを過ごしたら、スケジュール帳に記録しておきましょう。
たとえ一日12時間働かなければならなかったとしても、その大部分がフロー状態でゴールデンタイムを過ごしていたら、決して大きなストレスは感じないはずです。
「時間に追われている」というストレッサーは、時間をどう捉えるか、どう過ごすか、時間に対する考え方、受け止め方で大きく変わってきます。時間のゴールデンタイムを頻繁に持つことができれば、時間はあなたのストレッサーではなくなるはずです。
自分が時間をコントロールしているという感覚を持てるよう、時間の使い方を一度徹底的に洗い直し、スケジュールをたて、スケジュール通りに進めるようトライしてみましょう。自分が時間に追われるのではなく、自分が時間を追っていくように、時間との向き合い方を変えていきましょう。
※Macquarie University 「Build personal resilience」の講義を参考にしています。