人間関係によるエンカウンター・ストレッサーを大きくするのは人々の感情です。各々に感情がありますから、感情同士がぶつかり合うとエンカウンター・ストレッサーが巨大化します。そうなると各々が受けるストレス反応も強烈になってきます。2人の人間のどちらかが感情的にならなければ、たとえ相手が感情的であったとしても、感情が相乗効果で巨大化して衝突を激しくすることはあまりありません。
私達には他の人の感情をコントロールはできませんから、相手がどうであれ、まず自分が感情のままに発言したり行動したりしないように、自分の感情を管理するようにしましょう。感情の奴隷にならないようにします。特に職場では。
感情をどう管理するか、エモーション・マネジメントは現在の職場において重要なスキルの一つです。感情を管理することで、人間関係によるストレスはかなり減らすことができます。
ではどうやって感情の奴隷にならないようにしたらよいでしょうか?
それにはまず、その感情が自分のためになるのか、自分の役に立つのかを、自分自身に問います。前回説明したように、人間はそれぞれのセルフ・インタレストを守るために、あるいは最大化するために行動します。自分の感情が、自分のセルフ・インタレストを増やすものかどうか、まず自分のメリットを考えてみましょう。
「エモーション・マネジメント⑤ その感情は自分の役にたつのか、尋ねましょう。」でも説明しましたように、感情のままに発言したり、感情を爆発させたりすると、特に職場では自分自身がダメージを受ける可能性が高いです。自分の感情で自分に害を及ぼすアンヘルプフル・アクション(自分に有益でないアクション)を起こしているわけです。
- 自分や相手を責める
- 不平ばかり言う
- 怒鳴る
- 暴力をふるう
- 感情を無視する
このようなアンヘルプフル・アクションは自分の感情に振り回され、人間関係を傷つけます。傷ついた人間関係がストレスの元になって、自分にストレス反応を引き起こします。
自分の感情で、自分にダメージを与えるなんてやめましょう。自分のセルフ・インタレストに役立たない感情は「自分のためにならない」とはっきり認定します。自分のためにならない感情は減らす、なくす、あるいは手放しましょう。
感情の奴隷にならず、感情を管理する方法については「エモーション・マネジメント」シリーズで紹介していますので参考にして下さい。
しかし、それでも感情が抑えられず、人間関係がストレスの元になることはありえます。
他の人間との接触によって感情が生まれますので、その接触方法を変えてみましょう。次回は他の人間との接触方法のスキルとしてHURIERモデルを紹介したいと思います。
※Macquarie University 「Build personal resilience」の講義を参考にしています。