職場の人間関係が作り出すエンカウンター・ストレッサー(ストレスの元)を受けても、大きなストレス反応を引き起こさないために、人間関係を円滑にするスキルを身に付ける事が重要です。
そのスキルの一つとして、コーネル大学のJudi Brownell博士が提唱するHURIERモデルを紹介しましょう。
他の人と接触、つまりコミュニケーションを取る時に、感情の奴隷になったり、過剰な反応を引き起こさないよう、HURIERの表す6つのポイントを押さえて人と接触しようという方法です。
H:Hearing(聞くこと):その人の話を聞く時に、言葉以外の手振り身振り、表情などもよく観察する。
U:Understanding(理解すること):その人が何を言おうとしているのか、正確に理解する。よくわからない時は質問や確認で正しく話を理解する。
R:Remembering(憶えること):その人がそういう話をした、意見や感想を述べたことをちゃんと覚えておく。次回話す時に「この前は~と言っていましたよね」と確認する。
I:Interpretating(解釈すること):自分は偏見や先入観にとらわれて、その人の話を聞いていないどうかと考えてみる。
E:Evaluating(評価すること):その人の話をきちんと最後まで聞いているか(途中で相手の話を遮る人がとても多いのです。特に怒りの感情がある場合には)、その人はそうなのだと結論に飛びついていないか、自分の理解が正確で事実に基づくものか、点検してみる。
R:Responding(反応すること):反応を返す。H~Eのプロセスを経て、相手に自分の反応を返す。自分の理解が正しいか、相手にもう一度確認する。「私は~と理解したけれど、それがあなたの言いたいことですか?」などと、相手に確認した上で、自分の意見や考えを相手に返す。
他の人が話をする時、H:Hearing(聞くこと)から、すぐにR:Responding(反応すること)にジャンプしてしまうケースが多いのです。その結果、きつい言葉を使ったり、怒りをそのままぶつけたり、喧嘩になったり、感情的になったりします。親しい家族の間ならばそれも許される場合があるかもしれませんが、職場においては感情の奴隷になった方が負けです。
特に上司の立場にある人が、部下の話を聞く時にはH→Rにジャンプしないよう、とりわけU:Understanding(理解すること)に力を入れて、相手の話を咀嚼してから、反応を返すようにしましょう。
激しい感情同士がぶつかり合わなければ、人間関係によるストレスは感じにくくなるか、量や回数が減っていきます。
これは相手の話を聞く時だけではなく、自分が相手に話を聞いてもらう時に、相手がHURIERに基づき自分の話を聞けるよう、注意しながら話す事にも応用できます。
- 自分の話を相手が理解しやすいよう話す。
- 言葉だけでなく、身振りや表情も加えて話す。
- 自分が偏見や先入観に捉われた意見や考えを話していないか注意する。
- 相手が自分の話を正確に理解してくれたか確認する。
などにより、相手と自分のコミュニケーションが、感情的にならず、伝えたい事を正確に伝えあうことに役立ちます。
職場での自分と他の人とのコミュニケーションが、HURIERのポイントを押さええているか確認してみましょう。
※Macquarie University 「Build personal resilience」の講義を参考にしています。