ポジティブ心理学が生まれる前から、ポジティブ心理学の真髄を表す先人達の名言があります。そして、ポジティブ心理学の研究が盛んになっている現代においても、ポジティブ心理学の提唱する「ポジティブな感情によって、逆境を乗り越え、挑戦を続けて人生に充実感を感じられる」事を象徴する名言があります。
そのような名言を紹介する3回目はアルベルト・シュヴァイツァーの名言。
シュヴァイツァーといえば子供向けの「世界の偉人」全集に必ず載っている偉大なヒューマニストです。
「密林の聖者」とも呼ばれ、アフリカで医療と伝道に生きた人。医師であり神学者であり哲学者であり、音楽学者であり、とにかく人類の誇りのような方です。
彼の生涯を支えたのは神学者ですから信仰ももちろんあったと思うけれど、人々を助けたい、力になりたいという博愛だったのではないでしょうか。
その彼が「成功」と「幸福」の関係について残している名言があります。
Success is not the key to happiness. Happiness is the key to success.
成功が幸福へのキーではなく、幸福が成功へのキーである。
私達は「成功すれば幸せになれる」と思いがちですが、「幸せでいるからこそ成功できる」と逆の発想をシュヴァイツァーは述べています。
彼の名言が真実であることは、ハーバード大学等で熱心に行われている幸福についての調査や研究で証明されました。
ポジティブ心理学の第一人者であるショーン・エイカーの著書『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』で、「成功するから幸福になれるのではない。幸福でいるからこそ成功するのだ」という事が述べられていますが、まさにシュヴァイツァーの名言と同じです。
では、なぜ、幸福でいるからこそ成功するのでしょうか?
ポジティブ心理学や幸福論の研究の結果、幸福でいる人は、幸福である状態を見つけやすい人で、かつ自分で作り出せる人が多いという事がわかってきました。そして、幸福である状態にいる事が多い人はオプティミズム(楽観主義)を持っている傾向がある事もわかりました。
オプティミズムを訳せば楽観主義ですが、「まあ、どうにかなるさ~」と根拠もなく物事を放っておいてどうにかなるさと思う事ではなく、「自分で何かできることがある」「自分でよい方向に変えていくことができる」「これから事態をよくすることができる」という、希望のある方向へ歩き出すことができる心の在り方です。
オプティミズムを持っている人は、「状況をよくしていくために何が自分にできるか?」という行動や変化、チャレンジに目を向ける傾向があります。オプティミズムがない人は「どうせ物事は悪くなるばかり。自分にはどうにもできない。社会はこのままでしょうがない」と自分の力を信じることを諦めてしまいがちです。
どちらが仕事で成功に結び付きやすいか、一目瞭然ですよね。
オプティミズムを持っていて、自分を幸福な状態に導きやすい人は、幸福優位「ハピネス・アドヴァンテージ」を持っているから、仕事でも成功しやすいとエイカーは述べています。
シュヴァイツァーの名言は、現代の多くのポジティブ心理学の研究によって真実であること、そして重要性が確認されています。
ショーン・エイカーの『幸福優位7つの法則』についてはこちらをお読み下さい。