〇〇した方がよいとわかってはいるけれど。
〇〇に変わったほうがよいと頭では理解しているけれど。
でも、現実には変化しないままである。
変化、Change、チェンジを起こせない理由は様々です。状況や環境がチェンジを起こすことを難しくしている場合もあるでしょう。でも、多くの場合、変化を起こせないのは、その変化に向かって行動しないから、あるいは変化のための適切な戦略を使っていないからです。
これは、自分自身についても言えますし、家族、パートナー、友人など自分の周りの人達について、あるいは職場や職場の同僚についても言えます。
人間は「こうしろ」と言われると抵抗したくなります。たとえそれが自分自身であったとしても抵抗したくなります。
プッシュ戦略(PUSH)といって、「こうしなさい」「こうすべきです」と外から押し付けられると、それに対して反論したり、現状のままでいる事に固執する傾向が人間にはあります。たとえその命令が正しいと頭でわかっていても、変化を受け入れる事に抵抗するのです。
「勉強しなさい!」と子供に行って、勉強に励む子供はどれほどいるでしょうか?
「会社を業界ナンバー1にするために残業しなさい」と上司から言われてやる気の出る社員がいるでしょうか?
「煙草は体に毒だからやめなさい」と配偶者から言われただけで、喫煙を止められる人がどれくらいいるでしょうか?
「体重が増えてきたから運動しないとだめでしょう!」と自分を叱咤しても、じゃあ運動しようとジムに出かける人が何人いるでしょうか?
「こうしなさい」というプッシュ戦略が効果を発揮して、人が(自分自身を含めて)変化できる確率は大変低いのです。
もっと高い確率で変化を成功させる戦略が存在します。それは「カタリスト」を重視する戦略です。
「Catalystカタリスト」は「触媒」の意味で、変化を引き起こすきっかけを作る事です。何が変化をストップさせているのかを見極め、変化を促すためのきっかけを作っていくことで、変化を促進していこうという戦略です。
自分自身に対しても、他の人に対しても、職場に対しても、望んでいる方向に変化をしていくよう、カタリスト戦略で変化を引き起こしてみませんか。
そのためにまずREDUCEフレームワークを理解しましょう。
REDUCEとは何が変化の障害になっているかを示したものです。
Reactance:リアクタンス。抵抗。人はプッシュされればプッシュバックする。
Endowment:エンドーメント。ここでは凝り固まった素質。
Distance:ディスタンス。距離。ここでは情報との距離。
Uncertainty:アンサーティンティ。不透明感。ここでは変化する事のリスク。
Corroborating Evidence:コラボレイティング・エビデンス。ここでは一人では難しい事。
変化の妨げになっているREDUCEのそれぞれの要素につき、プッシュ戦略ではない戦略を使って、変化への障害をなくしたり、低くして、変化を受け入れやすくしていきましょう。
次回からはREDUCEそれぞれの要素に適応した戦略を紹介していきます。
※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。