オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

チェンジを起こすためのワーク➁ 対リアクタンス戦略その1:3つの選択肢を用意する

人間は現状を保つ事に安心を覚え、変化を拒否しがちな生物です。新しい事、これまでと異なる事に一端は抵抗を示すのが普通です。

でも、変わっていく事で、自分がレベルアップしたり、仕事のクオリティが上がったりします。

自分を変えるために、あるいは他の人や組織を変えるために、変化を拒否する障害REDUCEに沿って、一個ずつ対抗戦略を身に付けていきましょう。

REDUCE

Reactance:リアクタンス。抵抗。人はプッシュされればプッシュバックする。

Endowment:エンドーメント。ここでは凝り固まった素質。

Distance:ディスタンス。距離。ここでは情報との距離。

Uncertainty:アンサーティンティ。不透明感。ここでは変化する事のリスク。

Corroborating Evidence:コラボレイティング・エビデンス。ここでは一人では難しい事。

 

まずR:Reactanceリアクタンスに対抗する戦略です。

新しい事に挑戦したり、これまでと異なる方法を導入しようすると、多くの場合抵抗に遭います。発射された変化という名のミサイルを、人はすぐキャッチして撃ち落とそうとします。

変化に抵抗する人間の心理に対して打てる戦略は3つあります。その1つが「3つの選択肢を用意する事」です。英語では「Provide a menu(メニューを用意する)」と表現されます。

人は変化を押し付けられたと感じると抵抗するものです。自らが変化を選びとるよう導く事が効果的です。

1977年にアメリカのアーデンハウスという老人ケアホームで実施された実験があります。A棟では住人に飲み物やレジャーの選択肢を与えませんでした。世話人が選んだ物を提供しました。一方B棟では住人に飲み物やレジャーの選択肢を3つほど用意して住人に選ばせました。水かお茶かコーヒーか、あるいは映画鑑賞かトランプゲームか読書タイムか。メニューを複数用意して住人自身に選ばせました。結果、B棟の住人はA棟の住人よりも健康で幸福感が増し、寿命まで延びたのです。

選択肢が多すぎるのも選べないという問題を起こしますが、3個前後の複数の選択肢の中から自分で選んだとなると、自分で裁量できているという自己効力感が高まり、変化や新しい事を受け入れやすくなります。

この戦略を自分自身に使ってみましょう。

甘いお菓子をやめて果物を食べる習慣をつけたいと思っている自分

例えば、健康によくないからおやつは甘いお菓子をやめて、果物を食べるようにしたいと考えているとします。しかし、疲れたから、いらいらしたからなどの理由で、ついついこれまでのように甘いお菓子を食べてしまいます。

そこで3つの選択肢を用意しておきます。

  1. ハイカカオのチョコレート
  2. バナナ
  3. キウィフルーツ

カロリー的にはキウィフルーツが一番低く栄養価も高いのですが、どうしても甘い物が食べたくなるかもしれません。それで果物の中でも糖分が高いバナナも用意しておきます。どうしても果物では満足できない場合に備え、カカオが70%以上含まれているチョコレートを用意しておきます。

この3つの選択肢を自分に与え、「健康のために」①➁➂のどれかを選択します。キウィフルーツを選択できればよいですが、バナナやハイカカオチョコレートを選んでしまう日もあるでしょう。しかし、おやつはこの3つの中から選ぶとしておけば、甘いお菓子の食べ過ぎを防ぎ、健康によい事をするという変化を自分に引き起こしやすくなります。

部署全員に積極的にプロジェクトチームに参加してもらいたいケース

あるいはこの戦略を職場に使ってみましょう。

あなたの部署で新しい商品の企画書を作成する事になり、プロジェクトチームを立ち上げることになりました。チームリーダーのあなたは部署の全員に積極的に参加してもらいたいと思っています。そこで、プロジェクトチームに参加したいか否かを聞くのではなく、3つの選択肢を部署のメンバーに示します。

  1. 新商品の魅力をリストアップする
  2. パワーポイント資料を見栄えよく仕上げる
  3. 競争他社の商品との比較表を作る

この3つのどれに参加したいか、部署のメンバーに選択してもらいます。

上司から「これをやりなさい」「この仕事にチャレンジしてみなさい」と言われるよりも、3つの選択肢の中から自分が選んだのだと思うことで、その人の仕事へのやる気が違ってくるでしょう。

リアクタンスに対抗する戦略は、他にも「アスク」「ハイライト・ギャップ」があります。次回は「アスク」戦略について紹介したいと思います。

※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。

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