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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

チェンジを起こすためのワーク➂ 対リアクタンス戦略その2: アスク戦略

「チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。」で説明したように、人間が変化や新しい挑戦を受け入れるためには、変化に対する障害REDUCEを減らす、あるいはなくす事が有効です。

チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。ポジティブ心理学...

前回「Reactance:リアクタンス、抵抗」について、「3つの選択肢を用意する」事で、変化に対する抵抗を弱める戦略を紹介しました。
「リアクタンス」に対抗するためのもう一つの戦略が「アスク戦略」です。
「Ask, don’t tell」。こうしなさいと伝えるのではなく、なぜそうするのか?どうしたら可能になるのか?なぜ変化する必要があるのか?と、相手に質問していく行動です。相手は自分自身を含みます。Buy-in(バイイン)といって相手の賛同を得る行動です。

人間は「やれ!」と命令口調で言われた事については反感を持ちやすく、抵抗しがちです。それが新しい行動であればなおさらです。なぜ、その行動を行わなければならないのか?どうやって行ったらよいのか?を相手に考えさせて、自発的に変化を受け入れるようにしていきます。

英語を勉強しないといけないと思いつつ何もしない自分について

例えばアスク戦略を自分自身に使ってみるとします。
「英語を勉強しないといけない」と思ってはいるけれど、英語を勉強する習慣をなかなか身に付けられません。「アスク戦略」を使って自分自身に尋ねてみましょう。

Q:英語を勉強しないといけない理由は何か?
A:上司がアメリカ人だから、上司に英語で自分の意見を言えるようになりたい。
Q:自分の意見を英語で言うという事はスピーキングの力をつけたいということか?
A:スピーキングはもちろんだけれど、会話にならないといけないからリスニング力も身に付けたい。
Q:ではスピーキングとリスニングの能力をつける英語の勉強方法を調べたのか?
A:いや。英語を勉強しないといけないと漠然と思っているだけで・・・。
Q:ではまずスピーキングとリスニングの力をつける英語の勉強方法を探したらどうか?
A:そうね。まず、ネットで情報を調べてみる。
Q:他に方法はあるか?
A:同じ部署に英語がペラペラな先輩がいるから勉強方法を聞いてみる。
Q:いつ聞くか?
A:明日先輩に聞いてみる。

このように自分自身に変化の目的と、目的を達成するための手段について自問自答してできる行動をみつけていきます。

10%の経費削減をしたいが、その方法をチームで考えたい。

あるいは職場でアスク戦略を使ってみるとします。
会社全体で無駄な経費が多すぎると問題になり、自分の部署でも10%の経費削減をするよう上司から指示が出ました。自分の部下に経費を10%抑えなさいと指示したが、なかなか10%までは削減できません。そこで部下に尋ねてみることにしました。

Q:部署ごとに10%経費を削減しないといけなくなりました。なぜだと思う?
A:無駄な経費がかかりすぎているから、業績を圧迫しているのですよね?
Q:そうね。無駄な経費を削減することで、人件費、つまり私達のお給料やボーナスが減ることがないようにしようとしているのね。それでは私達の部署では、どうやって10%経費をカットしたらよいと思う?
A:まず減らせる経費をリストアップするのはどうですか?
Q:いいアイディアですね。他には?
A:前月と比べてどれくらい経費をカットできたかきちんと計算して、グラフにして皆が見える所に貼ったらどうですか?
Q:きっちり数値化すると、目標がわかりやすいわね。
A:一番多くかかっている経費をみつけて、まずその経費をカットする方法を考えたらどうでしょうか?全体の費用へのインパクトが大きいですし。
Q:確かにそれはいいアイディアですね。

このように、「10%経費を削減しなさい」と命令するのではなく、なぜそうしなければならないか、どうやってできるかを皆に問いかけ、考えさせます。そして皆で考えた事を実行に移してきます。変化のためのアイディアを考えるプロセスを共有する事で、変化への賛同を得やすくなります。変化への抵抗を弱めるわけです。

次回はリアクタンスに対抗するもう一つの戦略、「ハイライト・ギャップ」を紹介したいと思います。

※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。

チェンジを起こすためのワーク➁ 対リアクタンス戦略その1:3つの選択肢を用意するポジティブ心理学...

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