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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

チェンジを起こすためのワーク⑤ 対エンドーメント戦略その1: 非行動のコストをはっきりさせる

「チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。」で説明したように、人間が変化や新しい挑戦を受け入れるためには、変化に対する障害REDUCEを減らす、あるいはなくす事が有効です。

チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。ポジティブ心理学...

REDUCEのEはEndowment:エンドーメント凝り固まった素質を表します。具体的に言うと現状や古い物に固執して変化を避ける性質の事です。

人間はこれまで行ってきた行動や、ずっと共にあった、あるいは使用してきた対象や考え方に固執するものです。他の道があったとしても、今のままでいいと変化を拒否する傾向があります。過去や今の状態に愛着があり、固執してしまうのです。
それで問題がない場合もありますが、他の方法や考え方があるのに「これまでずっとそうしてきたから」と新しい事にチャンレンジするのを避けていると、同じところをぐるぐる回っているだけで、進歩や改善ができなくなります。
エンドーメントを和らげて、新しい変化を受け入れるようにするためにはどうしたらよいでしょうか。

その方法の一つとして「非行動のコストをはっきりさせる」事があります。「the cost of inaction」といい、行動を起こさないことにとって生じているコストを指します。
行動を起こさない、新しい変化を起こさないことによって自分に生じるコスト(不利益といってもよいでしょう)を考えてみましょう。

変化を起こす事は、時間的にもエネルギー的にも、時には金銭的にも様々なコストが必要になるでしょう。だから、変化をなかなか起こそうとは思えないのです。

しかし、変化を起こさない事にも、コストは生じているのです。この非行動のコストは、普段は見過ごされがちです。行動を起こさない事によって自分が失う物、自分へのデメリットを書き出してみましょう。

資格取得の勉強をしないコストを考えてみる

例えば、資格試験に合格してキャリアアップに役立てたいと思っているとします。しかし、毎日仕事は忙しいし、週末は気分転換に遊びたいし、資格試験の勉強をする気になれません。

その資格を持っていなくても職場をクビになるわけではないし、職場の同僚の中でも全員がその資格を持っているわけではなく2人しか持っていません。だからこの資格なしでもまあいいかと思って、なかなか真剣に資格取得の勉強に取り組めません。試験勉強用テキストを1冊買いましたが、全然読んでいません。

このような場合、資格試験に合格するための行動を起こさないことで自分に生じるデメリットを考えてみましょう。

  • 職場で2人しかこの資格を持っていないわけだから、自分が資格を取れば、他の同僚よりもスキルアップしたことになるのに、そのチャンスを放棄している。
  • 今の職場ではこの資格なしでも働けるけれど、もし他の部署に異動したい、あるいは他の会社に転職したいと思った時には、この資格がないと採用の時不利になる。
  • 今はこの資格なしでも問題ないけれど、将来自分の昇進のチャンスを邪魔するかもしれない。
  • 年を取ってからこの資格勉強をするよりも20代のうちに勉強した方が効率的なはずなのにずるずる先延ばしにして資格取得の確率を自ら下げている。
  • 忙しいと言いながら帰宅後や週末はテレビやネットをだらだら見ている時間がけっこうあって、資格の勉強をすればよかったなあと毎回自己嫌悪に陥り嫌な気持ちになる。

このように資格試験の勉強をしなくても何も失われていないと思えるかもしれませんが、勉強をしない事によって実は潜在的には多くの物を失っているのです。行動を起こさない事のコストは、しっかり自分自身にのしかかっているのです。

変化を受け入れにくい時には、その変化を起こす行動を取らなかった時の自分が受けるデメリット=コストを書き出して、直視してみましょう。

※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。

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