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ポジティブ心理学

チェンジを起こすためのワーク⑥ 対エンドーメント戦略その2 :バーン・ザ・シップ

「チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。」で説明したように、人間が変化や新しい挑戦を受け入れるためには、変化に対する障害REDUCEを減らす、あるいはなくす事が有効です。

チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。ポジティブ心理学...

REDUCEのEはEndowment:エンドーメント、凝り固まった素質を表します。具体的に言うと現状や古い物に固執して変化を避ける性質の事です。
エンドーメントを和らげて、新しい変化を受け入れるようにする方法として「バーン・ザ・シップ」があります。

Burn the ship。直訳では「その船を燃やす」ということですが、後戻りできなくする、背水の陣を引く、という意味です。
古い物や現状に固執して変化をしたがらない自分や組織に対して、変化するしか選択肢がないよう、既存の選択肢を消滅させてしまう方法です。かなり劇的ですね。しかし効果的です。

ソフトウェアのアップデートをしない社員に対して

会社のコンピューターで使用しているソフトウェアを定期的にアップデートしないといけません。ITチームは、社員にソフトウェアをアップデートするようメールで通知しますが、必ずアップデートをしない一定人数がいるものです。アップデートする事で既存のファイルが消滅してしまうのではないか、使い方が変わってしまうのではないか、今のままでも不自由を感じないから、などの理由により、ソフトウェアのアップデートを拒否したり先延ばしにする社員が存在します。この場合は「バーン・ザ・シップ」が有効です。

〇月〇日までしか既存のソフトウェアは使えません、それ以降はアップデートしたソフトウェアでなければ会社のインターナルなネットワークには繋がりませんと社員に通知します。アップデートしたソフトウェアでなければセキュリティ対策が万全でないからという理由です。締切を作って、その日までに確実に変化を受け入れてもらうようにします

〇月〇日以降、会社のイントラネットに接続できなければ仕事になりませんから、ブーブー文句を言いながらも社員は全員ソフトウェアをアップデートするでしょう。ソフトウェアをアップデートする以外の選択肢を与えず、古いソフトウェアは使えなくするという、まさに「バーン・ザ・シップ」の方法です。

テレビばかり見ている自分に対して

自分がテレビばかり見ていて、時間を無駄にしていると感じているとします。帰宅したらすぐテレビをつけて、同じような内容の番組を繰り返し見ている、BGM代わりにテレビを見ている自分。しかし、それは時間の無駄だとはわかっています。テレビを見ている時間を、家の中を整理整頓する時間や、勉強する時間、あるいはリラックスする時間にあてれば、一日がもっと充実すると頭ではわかっています。しかし、帰宅すると習慣的にテレビをつけてだらだらしてしまいます。

そんな自分に嫌気が指して変えたい時、「バーン・ザ・シップ」で、テレビを家の中から排除しましょう。リサイクルショップに売ったり、知人にあげてしまいましょう。あるいは押し入れの奥の方にしまいましょう。テレビがなければ、テレビを見ようがないわけです。テレビを見ない日々を生きていくしか選択肢はありません。「テレビばかり見て時間を無駄にしている自分」は確実にいなくなり、変化します。

「バーン・ザ・シップ」は劇的なので、すべての変化に使えるわけではありませんが、自分や組織を因習や現況から切り離すという意味では効果的で、確実に変化を起こします。

※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。

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