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ポジティブ心理学

チェンジを起こすためのワーク⑨ 対ディスタンス戦略その2: Ask for less作戦

「チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。」で説明したように、人間が変化や新しい挑戦を受け入れるためには、変化に対する障害REDUCEを減らす、あるいはなくす事が有効です。

チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。ポジティブ心理学...

REDUCEのDはDistance ディスタンス。変化や新しい情報との距離を指します。

人間は誰しも自分が許容できる範囲アクセプタンス・ゾーンを持っていて、アクセプタンス・ゾーンから遠く離れたような情報、つまりディスタンスがある情報には、拒否反応を示しやすいのです。

そこでアクセプタンス・ゾーンに入りやすいよう、新しい変化をかみ砕きましょう。

10の変化を求めず、1の変化を受け入れ、それを続けていき、トータルで10の変換が起こるようにします。Ask for less アスク・フォー・レス。小さいリクエストにしていきます。

肥満改善のためにソーダ断ちしたい

例えばAさんが肥満で、健康を回復していくために、医者は甘い飲み物を止めなさいと指示します。Aさんは一日に甘いソーダを3本も飲んでいるのです。Aさんがソーダを飲むのを完全に止められればよいのですが、いきなりソーダ断ちの変化は、Aさんのアクセプタンス・ゾーンから大きく距離があり、なかなかソーダ断ちができません。

そこで、医者はまず一日3本飲んでいたソーダを2本に減らすことを指示します。しばらくして今度は一日2本のソーダを1本に減らすことを指示します。またしばらくしてから、ソーダを飲まない、0本にすることを指示します。少しずつソーダの本数を減らしていって、最終的にはソーダを断つという変化を完成させるのです。

ソーダを完全に断とうとして、数日我慢していても、数日後には我慢できなくなってソーダをがぶ飲みしてしまう。そのような逆行を起こさないために、変化を小さなステップに砕いて、スローでも着実に変化できるようにするのです。

時間をかけて少しづつ変化に慣れていくことで、Aさんのアクセプタンス・ゾーンは、ソーダ3本がないといられないゾーンから、ソーダが1本か2本で大丈夫なソーンに変化し、最終的にはソーダなしでもよいというゾーンに変わっていきます。

このAsk for less作戦は、ダイエットや健康改善のための変化を引き起こすために効果的な方法です。

英語で商談ができる力をつけたい

自分のスキルアップにもAsk for less作戦は有効です。

Bさんは英語で商談ができるようになりたいと思っています。そうすれば顧客対象が日本人だけでなく、外国国籍の人にも広がり、ビジネスチャンスが増える事が期待できます。

しかしBさんは留学経験はないし、英語の勉強は中学、高校、大学で試験対策くらいしかしてきていません。英語を話す相手と英語で商談ができるようになるのは無理だと感じています。

この場合、いきなり商談ができる英語力を身に付けるのは難しいですが、小さなタスクに分解して、一個一個そのタスクを終えていきましょう。

英語のスピーキング、リスニング、商談に必要な単語を勉強する必要があります。

まずは商談に必要な単語を覚える事から始めましょう。一番取り掛かりやすいからです。

英語の単語集を買ってきて、英単語を覚えてもいいですし、英語の記事から商談に使えそうな単語を書き出して覚えていってもよいでしょう。

そしてスピーキングについては、英会話教室に通ったり、オンラインの英語レッスンを受けてみます。

また、スピーキングには実はリーディングの力も重要なので、英語の記事を声を出して読む事も効果的です。

リスニングはNHKのビジネス英会話を聞いてもいいですし、英語のニュースを毎朝聞くなど、耳が英語に慣れるようにしていきます。

これらのタスクを全部一度に始める事はかなり大変で、たくさんの意志力が必要になります。ですから、一個ずつ進めていく事がお勧めです。一つの変化に慣れてきたら、次のタスクに取り組みます。

1個ずつタスクをこなして、英語を商談に使うという大きな変化のための小さな変化を積み重ねていきます。

語学学習はAsk for less作戦が有効に働く対象です。ただし、小さな変化を継続していく事が重要です。

変化を一度で起こそうと思わない。新しい動きをいっぺんに受け入れなくてもよい。

変化は小さいステップやタスクに分解してから、一個ずつ着実に変化の道を進んでみましょう。

※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。

 

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