「チェンジを起こすためのワーク① 変化を妨げる要因 REDUCEを知る。」で説明したように、人間が変化や新しい挑戦を受け入れるためには、変化に対する障害REDUCEを減らす、あるいはなくす事が有効です。
REDUCEのUはUncertaintyアンサーティンティ。不透明感。現在の状態から変化する事に対するリスク、不確実性です。
人間は多くの場合、アンサーティンティが嫌いです。先が見通せない事、どうなるかわからない不透明感が嫌いです。しかし、変化にはアンサーティンティがつきものです。自分があるいは自分が大切に思っている状況や対象に害が及ぶのではないかという不安感が、変化を拒む大きな要因になります。
また、変化にはスイッチング・コストが付きまといます。変化するによる苦労やエネルギーは今すぐ必要とされるのに、変化することで受けられるメリットは多くの場合すぐではなく、将来、少し時間が経ってからしか味わえません。
先にコストがあり、メリットはある一定の時間が経ってからでないと味わえない。こうなると人は今すぐ課せられるコストの方にフォーカスしてしまいます。
変化を受け入れやすくし、アンサーティンティを少なくする方法の一つが、フリーミアムです。フリーミアムとは基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能は料金をチャージする仕組みのビジネスモデルを指します。
YouTubeは通常無料で使えますが、広告なしにしたい、オフライン再生を可能にしたいとなると、プレミアムを申し込むことになります。YouTubeに馴染んでしまうと、もうそれなしには暮らせないようになりがちです。情報提供の一大ソースになっています。
これも当初は無料で使える事でユーザーに使用経験を持ってもらい、そこからプラスアルファのサービスを欲してもらうよう導くフリーミアムの手法です。
Drop Box、アマゾン、インスタグラム、様々なソフトウェア、アプリ。あらゆるツールで、このフリーミアムは活用されています。
新しい物を受け入れてもらうために、開始時にかかるコストをゼロに近くして、まずメリットを味わってもらいます。このフリーミアムを、私達にも応用してみましょう。
新しい経費精算ソフトを導入したい
経理部のAさんは会社で新しい経費精算ソフトを導入したいと考えています。そのソフトウェアはコストがかかりますが、体験版ソフトは無料で提供されています。そのソフトの利点をまず上司や関係部署に経験してもらいましょう。無料体験版ソフトで使用を経験してもらい、手計算がなくなり、簡単に、かつ効率的に経費精算ができることを味わってもらいます。その後で、ソフトウェアを購入する事に合意してもらいましょう。
新しいコーヒーを注文してもらいたい
Bさんは顧客に新しい味のコーヒーを提供したいと思っています。しかし、顧客はいつもの自分のフレーバーのコーヒーを選びがちです。そこでまず無料で新しいコーヒーを試飲といて提供します。そのコーヒーの味が顧客が気に入れば、次回はお金を払ってもそのコーヒーを注文してくれるでしょう。
健康管理アプリを使い始めたい
Cさんはダイエットのために健康管理アプリをスマホにインストールしようと思っています。しかし、どのアプリにしてよいか迷っています。課金制度があるアプリの方が様々な機能がついていて便利そうです。こういう場合こそ、まずは無料のアプリで試しましょう。使ってみて、自分に合うアプリであり健康管理に役立つと思うのなら、課金もOKにしましょう。どのアプリにしようか迷っていつまでも健康管理を始めないよりも、先に無料版で経験してから、自分に合うかどうかを判断すればよいのです。
まず新しい事の経験をへてメリットをわかってもらう。その上でコストを払う。新しい事のアンサーティンティを少なくする一つの方法です。
※University of Pennsylvania,Jonah Berger「Removing barrier to change」の講義を参考にしています。