STDはSelf Determination Theoryの略で、日本語では自己決定理論と訳されます。人間が行動する際のモチベーション(動機)を研究し、どのようにモチベーションアップをしていけばよいかを論理的に示しています。
モチベーションには「外発的モチベーション」と「内発的モチベーション」の2種類がありますが、仕事の場合、ほとんどの行動の動機は「外発的モチベーション」によるものでしょう。
ただ、「外発的モチベーション」であっても「内発的モチベーション」に近づけていく方法があります。「内発的モチベーション」は、自らその行動を取る事が楽しく、興味があり、好奇心が刺激され、満足感を覚える動機です。「外発的モチベーション」が「内発的モチベーション」に近づいていくと、仕事に対してやる気が起き、積極的に関わっていくようになります。
まず、「外発的モチベーション」のはどのような種類があるか見てみましょう。
External Regulation:外部規制
報酬や罰則など、外部からのルールが行動の動機になるケース。仕事をすればお給料を貰える(報酬)、契約を獲得しないと減給になる(罰則)など、外部からの縛りによる動機。これは実効性が高く、多くの人が行動の基盤にしますが、発展性や継続性が低くなる傾向があります。
Introjection:取り込み
自分のエゴが動機になるケース。自己評価や自己肯定、自分の能力を認めたいとい気持ちが動機になります。この場合、物事が上手くいかないと自己批判に向かい、やる気を失うというデメリットがあります。
Identification:同一化
仕事を自分の価値や能力を発揮する場として認識し、スキルアップをして自発的に仕事に関わろうするケース。自分の改善、能力のアップが動機になります。自分の意志の力が基になり、継続的で質の高い動機になります。
Integration:統合
仕事をする事により、自分が人間として発展できるケース。仕事をする事によって自分の人生に充実感や幸福感を覚えます。「内発的モチベ―ション」に近くなります。
モチベーションの継続性、クオリティから言えば「統合」が最も高く、「外部規制」が最も弱くなります。
しかし、現実では「外部規制」や「取り込み」が仕事における「外発的モチベーション」の大部分になっている場合が多いでしょう。
どうしたら、「外発的モチベーション」を「内発的モチベーション」に近づけていけるか、その方法を次回は紹介しましょう。
※University of Rochester, Richard Ryanによる「Introduction to Self Determination Theory」の講義を参考にしています。