どうしたら、「外発的モチベーション」を「内発的モチベーション」に近づかせ、継続性のあるハイクオリティのモチベーションを持てるでしょうか。
それは「STD:モチベーションアップの方法➁ 仕事で内発的モチベーションを培う方法」で説明したように、「内発的モチベーション」を培う重要な3要素「自律性」「有能さ」「関係性」を、「外発的モチベーション」の中に取り入れていく事です。
そのためには職場における同僚、上司の行動、言動は大変重要になります。「自律性」「有能さ」「関係性」の3要素を同僚や部下に経験してもらうようサポートをする事により、彼らのモチベーションはやらされ感のある「外発的モチベ―ション」から、自ら積極的に仕事に関わろうとする「内発的モチベーション」に近くなっていきます。
例を挙げて説明していきましょう。
自律性のサポート
①同僚や部下に指示を出す時に「~すべきだ」「~ねばならない」と言う言葉を避ける。
英語でいえば「Should」「Have to」です。それよりも「~したほうがいいよね?」「~のために何をすべきかな?」と、相手の同意、賛同、意見を得やすいように話しましょう。相手が納得し、自らその行動を取る事の理由を確認できるような話し方をしましょう。
また、「~すべきだ」という論調になってしまう時は、なぜそうすべきなのかという論拠も相手に伝えましょう。「なぜ予算申請の用紙を1週間前に出さなくてはいけないかというと、承認をもらう関係者が5人いて、修正が入る場合もあるから、時間的に余裕を持たせないといけない」のように、そうしなければいけない理由、根拠も相手に説明しましょう。
➁同僚や部下に複数の選択肢を示す
Aという行動を相手に取ってもらいたいけれど、強制されたと相手に思われないよう、A,B,Cと複数の行動の選択肢を相手に与えて、相手に選んでもらう工夫をすると、相手は自分が決定権を持っていると認識し、自律性を感じます。
例えば、顧客に新商品のプレゼンテーションを行いたい場合、そのプレゼン資料を作成する作業を3つに分けます。文章作成のチーム、ビジュアル作成のチーム、グラフ等データ作成のチームと3つのチームを作り、相手にどのチームに入るか選んでもらいます。自分が選択したチームで仕事に取り組む事により、自律性を感じる事ができます。
➂少なくとも1つのプロジェクト・チームのリーダーになってもらう
職場では効率性を高めるために、業務改善が必須です。複数の業務改善のためのプロジェクト・チームを作り、同僚や部下に、それらのチームの少なくとも1つはリーダーを務めてもらうようにしましょう。光熱費削減プロジェクト、無駄なコピー削減プロジェクト、クリーンデスク・プロジェクトのように、様々な業務改善プロジェクトを走らせて、部下にどれか一つはリーダーとして率いてもらいましょう。
どのプロジェクトを率いるか、部下に選んでもらうと一層自律性が高まります。
「有能さ」「関係性」についてもサポートしていく事が「外発的モチベーション」を「内発的モチベーション」に近づけていきます。
次回は「有能さ」「関係性」のサポートについて説明していきましょう。
※University of Rochester, Richard Ryanによる「Introduction to Self Determination Theory」の講義を参考にしています。