「外発的モチベーション」でも「内発的モチベーション」でも、ハイクオリティのモチベーションを保つためには「自律性」「有能さ」「関係性」の3つの要素を培う事が重要であり、職場においては同僚、上司の行動、言動が大きな影響力を持つと説明してきました。
一方、自分自身の力で「自律性」「有能さ」「関係性」を培っていく方法は何でしょうか?その方法の一つが「マインドフルネス」です。
自分が今どのように感じているか?
「マインドフルネス」とは「今の自分の気持ちや行動に集中すること」です。まず、「自分が今どのように感じているのか?」にフォーカスします。人は意外の自分の気持ちがわからないものです。あるいは仕事をしていると、忙しくて自分の気持ちなんて構っていられないと思うかもしれません。
1分でいいので、すべての作業や思考を止めて、「自分は今何を感じているか?」と自分に問いましょう。そして、自分がそのように感じている理由は何なのかを考えてみましょう。
- イライラしている→今日中に終わらせないといけない仕事が多すぎて焦っているから。
- 憂鬱→今朝部長から資料のミスで叱られたから。
- 落ち着かない→今日、先日顧客に提案した企画書の返事がくる。
- わくわくしている→今日は憧れの先輩とランチの約束がある。
不安→今日から新しいチームリーダーが来るから、どんな人なのか不安。
自分がどう感じているかについて、善悪や是非をつける必要はありません。ただ、「今はそう感じている」という事実に気づくだけでよいのです。
自分の気持ちを否定したり、蓋をする必要はありません。自分が何をどのように感じているかを気づいて、認める事がマインドフルネスの第一歩です。
自分が幸せと感謝を感じる理由があるか?
次に、「自分が今幸せだと感じたり、感謝したりする理由があるか?」と自分に問いかけましょう。イライラしたり、憂鬱だったり、ネガティブな感情を感じている時もあると思いますが、そんな時でも、自分が幸せだと思う理由、ありがたいと思う事が一個くらいあるはずです。それを探してみましょう。
- お給料をもらって、生活できている。
- 企画会議に参加できるようになって嬉しい。
- 顧客にありがとうと言われた。
- 愚痴を言い合える同僚がいる。
- 自分のデスクが大きな窓の近くにあって、きれいな空が眺められる。
どんな日でも、どんな状況でも、一つくらいは「幸せだ」「ありがたい」と思える事があると思います。それを一つ、探してみましょう。
この2つの問いをする事によって、気持ちが落ち着き、自分の心の中にフォーカスして、地に足がついたように感じると思います。
マインドフルネスは「いま、ここ」に集中する事ですから、自分の思考や気持ちを「いま、ここ」に持ってきて、落ち着かせるためには、この2つの問いが有効です。
マインドフルネスな状態になると、自分で物事を分析、判断、決断できるようになり、「自律性」が高まっていきます。
マインドフルネスを鍛える方法は他にも色々あります。
「マインドフルネスになって、頭と心をスッキリさせてみましょう」
「マインドフルネス状態になるための具体的な方法とは?」
でその方法を紹介していますので、参考にしてみて下さい。
※University of Rochester, Richard Ryanによる「Introduction to Self Determination Theory」の講義を参考にしています。