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ポジティブ心理学実践ワーク
仕事に前向きになる方法

STD:モチベーションアップの方法⑩  STDとウェル・ビーイング

STD(自己決定理論)において、人間が幸福感や充実感を感じる状態、つまりウェル・ビーイングな状態は、その人の持つ機能がフルに活用されている状態としています。STDの第一人者であるライアン博士は人間がウェル・ビーイングな状態でいるためには、「内発的モチベーション」の要である「自律性」「有能さ」「関係性」が満たされている事が重要だと提唱しています。

それからライアン博士は、その人が掲げるライフゴール(人生の目標)が、本質的なゴール(Intrinsic Goal)か外因的なゴール(Extrinsic Goal)かによっても、ウェル・ビーイングの度合いは変わってくると主張しています。

アメリカンドリームのダークサイド

ライアン博士とそのチームがアメリカ人のライフゴールの種類と達成度、そして幸福度を調査した結果「アメリカンドリームのダークサイド」とも呼ぶべき現象を発見したのです。名声、金持ち、出世、美貌のような魅力的な外見など、世間一般的に成功といわれるゴールを達成したアメリカ人達の幸福度を調べたところ、意外にも満たされないと感じている人が多かったのです。一度成功してもまだ足りない、もっともっと成功しなければと焦燥感を感じ続ける、今の成功が継続しないという不安が大きくなる。既に手にした成功や戦利品を失うのではないかという恐怖に駆られる。世間から成功者とみなされるアメリカン・ドリームの実現者達は、このようなイル・ビーイングという、ウェル・ビーイングとは反対の状態に多くの人がいる事を発見しました。

本質的ライフゴールと外因的ライフゴール

そこでライアン博士は、人々が持つライフゴールの種類を「本質的ライフゴール」(Intrinsic Life Goals)と「外因的ライフゴール」(Extrinsic Life Goals)の2つに分類し、「本質的ライフゴール」を追求した方が人生に満足を感じ、継続して幸福感を感じる、つまり、ウェル・ビーイングな状態を維持できる事を確認しました。

「外因的ライフゴール」は達成されればその瞬間は満たされるのですが、その幸福感が継続せず、更に欲求が強まるか、焦燥感を感じ続けて、ウェル・ビーイングな状態からは遠くなるとわかりました。

本質的ライフゴール
  • 自分の成長(Personal Growth)
  • 意味のある関係(Meaningful Relationship)
  • コミュニティへの貢献(Giving to Community)
  • 健康(Health)

 

外因的ライフゴール
  • お金(Money)
  • 名声(Fame)
  • 外見(Image)

 

仕事に本質的ゴールを取り入れる

仕事をしていく上でも、たくさんのお給料やボーナスを得る(お金)、出世して皆に尊敬される(名声)、高級なドイツの車を運転しブランドものの服をたくさん持つ(外見)などの外因的ライフゴールだけを追うのではなく、本質的ライフゴールも持つと、ゴールへ向かう過程が充実感や満足感を感じるものになり、その状態が長続きします。

  • 仕事をお給料を得る目的だけに使わず、「自分の成長」のために利用する。
  • 職場で同僚や上司の悪口や批評ばかりしているのではなく、互いに助け合える協力関係を築く、尊敬できる先輩からスキルや経験を学ぶ。
  • 仕事を通じて、自分が地域社会など、他の人のために役に立つ方法を探す。
  • 仕事をすることで規律ある生活リズムを保ち、健康維持に役立たせる。

このように、仕事を通じて本質的ライフゴールも追求していくとで、「自律性」「有能さ」「関係性」という良質なモチベーションに大切な3要素を満たす事ができます。

仕事を通じて達成したいゴールを考える時は、外因的ゴールだけでなく、本質的ゴールも設定してみましょう。モチベーションアップに有効です。

※University of Rochester, Richard Ryanによる「Introduction to Self Determination Theory」の講義を参考にしています。

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