オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

Tomorrowmindで変化の時代を生き抜く① VUCAな時代の到来

ポジティブ心理学の第一人者であるペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授と、職場でのウェル・ビーイングな働き方を研究しているBetterUpLabのガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士が共著で2023年1月に出版した本『Tomorrowmind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』。訳すと「トゥモローマインド:レジリエンス、クリエイティビティ、コネクションで仕事を通じて充実して生きる」ということになります。

副題は「How can we thrive in uncertainty — as individuals, as leaders, and as organizations? 」。不透明な時代にどのように私達は充実した人生を生きられるのか?個人として、リーダーとして、組織として」となっていて、コロナ危機を経て、デジタル化やテクノロジー革命がスピードアップする社会で、次々と起きる変化の波をどう渡っていけばいいのか、先が見えない職場の環境においてやる気を失わずにどう働いていけばいいのか、についてポジティブ心理学の見地から、様々な提言が含まれています。

このシリーズでは、この本の中から、私達が大きな変化の波(本ではwhitewater world of work:白波がたつほど流れが急な世界に似た仕事環境と表現されています)を脅威と捉えず、チャンスと捉えて、主に仕事を通じて充実感や幸福感を味わっていくためにどうしたらよいのかについて紹介していきましょう。

ポジティブ心理学について書かれた本は数多くありますが、この本が、コロナ感染拡大の危機、加速化したデジタル化社会、テクノロジーの急激な進化により仕事の内容や職場の状況が激変している時代を反映して2023年に書かれ点が重要です。私達の多くがリアルタイムで経験している大きな社会の変化にどのように対処していけばいいのかについて、検証的かつ具体的なアイディアが多数書かれています。

まず、「大きな変化の波」と書きましたが、それがどれくらいすごい変化なのかを実感してみましょう。

この本の中ではVUCAの時代が到来したと表現されています。

VUCA(ブーカ)は、

  • Volatility(変動が激しい)
  • Uncertainty(不透明)
  • Complexity(複雑)
  • Ambiguity(曖昧模糊)

の頭文字を取ったもので、変化が激しく、不透明感に覆われ、複雑な現在の世界を象徴する言葉です。加えて、1つの問題を解決しようとしても、原因は1個ではなく、複数の原因を解決しないと、1つの問題が解決しない状態が多い事も特徴です。

そんなVUCAな世界では、仕事の内容も、これまでの仕事に対する価値観も、「働く」という意味や内容さえも、どんどん変わっていくと予想されます。

仕事に関して、どれくらい大きな変化が起こると予想されているのかを実感するために、この本の中で引用されている調査機関の予想を見てみましょう。

  • アメリカの調査機関によると、アメリカでは1900年から1940年に、アメリカで仕事の置き換え(解雇も含む)は40%起こったそうです。テクノロジーに取って変わられたり、その仕事自体が消滅したり。そういう変化が40%も起こっていたのです。2018年の時点では、10年~12年の間に、アメリカの労働力の20-25%は、自動化などのテクノロジーに取って変わられるという予想が出ていました。つまり、現在の仕事の置き換えは、1900-1940年の間の2倍の速さで起こっていることになります。
  • 世界的なコンサルティング会社のマッキンゼーの予想では、2030年までに、すべての仕事をする人が、新しいスキルが必要となり、複雑化した機械を使って仕事をする事が求められると予想しています。
  • 2018年時点で、労働力の71%が人間によるもので、29%が機械などに非人間によるものでした。世界経済フォーラムでは、これが2025年には50%が人間で、50%が機械などの非人間による労働力になると推定しています。
  • マッキンゼーによれば、2030年までにはテクノロジーの発展により、職業の80%は機械にとって代わられるか、賃金減少になると予想されています。

今就いている仕事が、5年後、10年後もそのまま存続しているとは限らないのです。あるいは今の仕事が5年後、10年後、人間の作業として存在するとは限らないのです。

世界経済フォーラムの予想では、仕事をする人達は、10年ごとの自分のスキルを再構築しないといけなくなるとしています。

マッキンゼーの予想では、2030年までに、すべての仕事をする人が新しいスキルが必要となり、複雑化した機械を使って仕事をする事が求められると予想しています。

2030年はあと7年後。そう遠くない未来です。

これらの変化を恐怖、嫌悪、諦めで受け止めて、受動的に過ごしていくか、変化をチャンスと捉えて能動的に過ごしていくかで、私達の仕事への向き合い方、果ては人生の過ごし方が大きく違ってきます。

では、どうしたら変化をチャンスと捉えることができるのか?

その方法を、この『Tomorrowmind』の本を参考に、紹介していきたいと思います。

 

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