ポジティブ心理学の第一人者であるペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授と、職場でのウェル・ビーイングな働き方を研究しているBetterUpLabのガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士が共著で2023年1月に出版した本『Tomorrow Mind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』。訳すと「トゥモローマインド:レジリエンス、クリエイティビティ、コネクションで仕事を通じて充実して生きる」ということになります。
Tomorrowmindを構築する5つの要素PRISM。MはMeaningあるいはMatteringで、仕事に意義や意味を見出すモチベーションを燃やし続ける能力です。
仕事に意義を感じるのはどのような状況か、この本の中で紹介されている別の調査結果を見てみましょう。
ニュージーランドのカンタベリー大学が起こった調査です。その結果によると、人々が職場で仕事に意義を感じるのは7つのトリガーがあるとわかりました。
- Personal Growth:個人の成長。仕事を通じて自分が成長していると感じる事。
- Professional Growth:職業人としての成長。スキルや知識、専門性など仕事のレベルアップする力を得る事。
- Shared Purpose:目的の共有。リーダーや同僚と同じ目的のために働いていると感じる事。
- Service:サービス。自分以外の誰かのために何かを提供していると感じる事。
- Balance:バランス。個人の生活と職業人としての生活のバランスが取れていると感じる事。
- Inspiration:インスピレーション。会社の理念やリーダーに触発される事。
- Honesty:誠実さ。率直なコミュニケーションができて、仕事の評価が正当であると感じる事。
これらの7つの要素が、全部とはいわなくとも、複数あれば、仕事が意義深い、ただお金を稼ぐだけの手段ではないと感じるようです。
この7つのトリガーの中で、最も人々が重視したのがPersonal Growth、個人の成長でした。自分自身の人間としての成長を感じる事、仕事を通じて自己実現をしていると感じる事が、最も仕事に意義を見出すトリガーになるそうです。
仕事を通じて「個人の成長」を感じるために、すぐにできるお勧めの方法が「Notice and Savoring」(気づくことと味わうこと)です。
自分がどのような仕事をしたのか、何を達成したのか、自分がきちんと認識しましょう。「大したことはしていない」と思っても、実は結構たくさんの仕事を終わらせているのです。
一日の終わりに、今日一日の作業、仕事で行った事をリストにして書き出し、自分の成果を確認しましょう。そしてうまくいった事、達成した事があれば、それを自分で認め、自分をほめましょう。「Tomorrowmindで変化の時代を生き抜く⑥ レジリエンスを身に付ける方法その④ 自分の成功をきちんと祝う」で紹介したセイバリングで、じっくりと、自分の成し遂げた仕事を味わいましょう。
自分が終わらせた仕事、成し遂げた仕事について、定期的にレビューをする事が、仕事を通じて「自分の成長」を感じるためにはとても重要です。
※Martin Seligman, Gabriella Rosen Kellerman『TomorrowMind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』を参考にしています。