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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

Tomorrowmindで変化の時代を生き抜く⑭ 職場のラポートを作るものは

ポジティブ心理学の第一人者であるペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授と、職場でのウェル・ビーイングな働き方を研究しているBetterUpLabのガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士が共著で2023年1月に出版した本『Tomorrow Mind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』。訳すと「トゥモローマインド:レジリエンス、クリエイティビティ、コネクションで仕事を通じて充実して生きる」ということになります。
Tomorrowmindを構築する5つの要素PRISM

Tomorrowmindで変化の時代を生き抜く➁ PRISMでTomorrowmindを身に付けるtomorrowmind...

Sはサポート力になります。
職場でのサポート力とは、

  1. Empathyエンパシー 共感能力:他の人の感情を想像し理解できる能力。
  2. Compassionコンパッション 思いやり:他の人の感情をおもんばかった言動がとれる能力。

が重要な構成要素です。

この2つの能力を使うことで職場でのRapportラポート「相互信頼や相互理解」が築かれます。

仕事をする場だからこそ、周囲の人間との理解と信頼、共感は重要になります。人間はオキシトシンというホルモンが出る時に、人との繋がりを感じて気持ちが上向きになるのですが、このオキシトシンは、共感や思いやりを自分が受けたり、自分が他の人に与えることによって分泌されるのです。

アメリカのハーバード・ビジネス・レビューに2018年に掲載された調査結果によると、職場で孤立している人は、仕事に対する満足度は、孤立していない人よりも低く、昇進の機会も少なく、退職しがちだということです。一方、職場に親友と呼べるような仲のよい友人がいる場合、その人はそうでない人よりも7倍、仕事に対する熱心さがあるそうです。

共感能力や思いやりを使って職場の人達の間に相互信頼や相互理解を築くことが、仕事に熱意を持って取り組むためには重要なのですが、現実的には3つの障害があります。

障害1:時間

「時間がない」と焦ることで、同僚や部下との対話の時間がないと思ったり、十分なコミュニケーションを仲間と取れないと思いがちです。

障害2:場所

アメリカではコロナ前は約30%の労働者がリモートワークでした。コロナ感染拡大中は50-60%がリモートワークです。コロナ感染が収束しても、リモートワークの労働人口は大きくは減らないでしょう。物理的に職場の同僚と対面で話し合う機会、直接接する機会は減っています。パソコンの画面を通じて同僚と合っても、それはオキシトシンを分泌するような繋がりの感情は生み出さないのです。

障害3:US/Them分類

人は自分が属するイン・グループ(In group)と、対峙するアウト・グループ(Out group)に集団を分ける傾向があります。

これは原始の社会では人間が生き残るために敵と味方を識別する事が重要でしたから必須のスキルでした。しかし、現代社会、特に職場においてこのインとアウトのグループ分けをやりすぎると、アウト・グループに属する人達に信頼を感じなくなります。人間は自分が属すると思っているイン・グループに所属する人達に対しては共感や思いやりを発揮しやすいのですが、自分とは異なると認識しているアウト・グループの人達に対しては共感を覚えにくいのです。職場の同僚をアウト・グループに分類してしまうと、相互理解や相互信頼は進まなくなります。

この3つの障害をどのように取り除いて、職場におけるラポートを高めていったらよいでしょうか?次回からはその方法について紹介していきます。

※Martin Seligman, Gabriella Rosen Kellerman『TomorrowMind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』を参考にしています。

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