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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

Tomorrowmindで変化の時代を生き抜く⑮ 職場のラポート構築を妨害する時間の飢餓感をなくそう

ポジティブ心理学の第一人者であるペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授と、職場でのウェル・ビーイングな働き方を研究しているBetterUpLabのガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士が共著で2023年1月に出版した本『Tomorrow Mind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』。訳すと「トゥモローマインド:レジリエンス、クリエイティビティ、コネクションで仕事を通じて充実して生きる」ということになります。
Tomorrowmindを構築する5つの要素PRISM
Sはサポート力になります。「Empathyエンパシー 共感能力」と「Compassionコンパッション 思いやり」を使うことで職場でのRapportラポート「相互信頼や相互理解」が築かれます。しかし職場のラポートを築くには「時間」「場所」「US/Them分類」という3つの障害があります。これら3つの障害をどのように克服したらよいでしょうか?

まず、「時間」という障害を克服する方法を紹介しましょう。

上司や同僚や先輩、後輩、あるいは顧客に、もっと優しい言葉や思いやりのある態度を示したいと思ったとしても常に「時間がない」「忙しい」「もっと優先する事がある」という焦燥感を私達の多くが抱えています。Time Feminineタイム・フェミニン、時間の飢餓感という感情で、いつも「時間がない」「時間が足りない」と自分で自分を追い立てています。
まず、この時間の飢餓感をなくす、あるいは緩和する方法を取りましょう。「必要な時間は十分ある」と感じるTime Affluenceタイム・アフルエンス 時間の余裕感を養いましょう。時間の飢餓感とは対極的な感覚です。

どのようにして時間の余裕感を持てるかというと、他の人のために時間を使う事が有効です。「自分のための時間がないというのに、他人のために時間を使うのか!?ますます時間がなくなるではないか?」と思うかもしれませんが、この方法はきちんとした調査結果に基づいているのです。

アメリカの一流ビジネススクールであるウォートン、イエール、ハーバードの教授が、タイム・フェミニンをなくし、タイム・アフルエンスを味わうための手段を実験し、最も効果的だった手段が「他の人のために時間を使うこと」だったのです。自分のためにもっともっと時間を使っても、タイム・フェミニンは緩和しなかったのです。’Giving time gives you time’と言えます。(時間を人に与える事はあなたに時間を与える)忙しい時でも、職場の

周囲の人のために、あるいは顧客のために、時間を使いましょう。
具体的には、思いやりや共感を示す言葉を常に会話の冒頭か終わり、あるいは両方で使うことです。

ジョンホプキンス大学のがん病棟で医師が患者の診察の始めと終わりに、語るべき文章を指定され、それを患者に伝えました。一回40秒くらいの文章です。その言葉を聞いた患者たちは心配や不安が薄れ、医師が自分の苦しみを理解してくれていると温かい気持ちになったそうです。

職場でも同様の事をしてみましょう。
職場の人達とミーティングする時、会議をする時、始めと終わりに、共感や思いやりを示す文を語りましょう。短いものでいいのです。文を思いつくのが苦手ならば、前もってノートに書いておいてそれを読んでもよいのです。

  • いつも懸命に働いてくれて感謝している。
  • 一緒に考えれば、問題も解決できると信じている。
  • あなたと一緒に働くことができて、私は恵まれていると思っている。
  • トラブルから逃げないで解決しようとする態度をいつも尊敬している。

簡単で短い文章でよいので、相手に敬意、共感、思いやり、感謝を伝えられる言葉を伝えましょう。
30秒から40秒の時間です。意識して、他の人のために、それくらいの時間は使いましょう。

調査によると職場に置いて私達の多くが一日のうち30分~3時間を無駄に費やしていることがわかっています。ネットサーフィンしたり、SNSをしたり、業務時間中にもかかわらず仕事以外に気がそれている時間が結構あるのです。

一回、30秒から40秒でいいので、相手に共感を示す言葉を伝えましょう。それが相手のために時間を使うことです。相手のために時間を使うことで、自分自身が時間の飢餓感から解放されていきます。そして相手のために時間を使うことで、職場での相互理解、相互信頼、つまりラポートが築かれていきます。

※Martin Seligman, Gabriella Rosen Kellerman『TomorrowMind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』を参考にしています。

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