ポジティブ心理学の第一人者であるペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授と、職場でのウェル・ビーイングな働き方を研究しているBetterUpLabのガブリエラ・ローゼン・ケラーマン博士が共著で2023年1月に出版した本『Tomorrow Mind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』。訳すと「トゥモローマインド：レジリエンス、クリエイティビティ、コネクションで仕事を通じて充実して生きる」ということになります。
Tomorrowmindを構築する５つの要素PRISM。そのPはProspection、プロスペクション。何が起きても備えられるように未来を予想し、計画する能力です。
このプロスペクションを養うためにはクリエイティブであること、創造力が重要になってきます。個人レベルでも重要ですが、企業の組織においても大変重要です。
仕事でチームを構成する時は、創造力がフルに発揮されるよう注意を払いましょう。クリエイティブなチームを運営するためのポイントは４つあります。
①混成メンバーにすること。
英語ではヘテロジニアスといいます。異なるバックグランドや考え方、能力を持つメンバーを集める事が重要です。異なる体験やキャリアを持つメンバーが集まった方が物の見方や考え方に幅が出ますし、参考にする情報や分析も多様なものになります。チームメンバーは同じような特性の人員ばかりではなく、あえてバラエティに富んだ人員構成にしてみましょう。
➁スムーズなコミュニケーションと情報シェア。
チーム間で意見を出し合うことが出来るオープンコミュニケーションを確保する事と、情報をチーム内の皆がシェアする事が重要です。様々な話し合いや意見交換がされる事で、アイディアはブラッシュアップされますし、多くのアイディアの中から最も有効な一つを選び取る事にも役立ちます。またメンバー間の情報シェアは、チームに所属しているという認識をメンバーに持ってもらうためにも大切です。チーム内では安心してコミュニケーションできるという心理的安全性にも繋がります。
➂心理的安全性を確保する。
メンバーが自分の意見を安心していう事ができる環境作りが重要です。自分が意見を言っても、強く否定されない、無視されない、意見を聞いてもらえるという安心感をチームメンバーが持つ必要があります。間違った意見を言っても罰せられない、ばかにされないという安心感をメンバーが与えましょう。
そのためにはチームリーダーの役割が重要になります。特にリーダーのメンバーへのフィードバックの方法が重要です。メンバーの意見には、好奇心を持って聞き、完全否定や批判するのではなく意見を出してくれたことを前向きに評価し、自分はどう思うかのフィードバックを返すようにしましょう。「Tomorrowmindで変化の時代を生き抜く⑭ 職場のラポートを作るものは」で説明した通り、チーム内にラポートを構築する事が大切なのです。
④綿密なプランニング。
チームの達成すべき目標を明確にし、目標達成までのプロセスをはっきりさせましょう。そして各メンバーがそれぞれのプロセスにおいて、どのような役割と責任を果たすべきかを明確にしましょう。目標達成までには数段階のプロセスを踏む必要があります。目標達成までの段階を明確にし、それをチーム内でシェアして、進捗状況を共有します。また、メンバーが何をすべきかを明確にし、メンバーそれぞれがするべき仕事を自覚する事が重要です。これも、チームリーダーの役割が重要になります。
このプランニング能力については抑えるべきポイントがありますので、次回紹介しましょう。
上記の４つのポイントを満たしたチームは、チーム内で意見やアイディアが活発に出て、クリエイティブなチームになる可能性が高いのです。
※Martin Seligman, Gabriella Rosen Kellerman『TomorrowMind: Thrive at Work with Resilience, Creativity and Connection』を参考にしています。
