オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
仕事に前向きになる方法

「結晶性知能」を活かしたキャリアを考えてみる

ハーバード・ビジネススクールの教授で、社会科学者であり、どうしたら人が幸福に生きられるか?の研究をしているアーサー・C・ブルックス氏がアメリカの超有名司会者オプラ・ウィンフリーと共著で『Build the life you want』という本を出版しアメリカで話題になっています。

ブルックス氏といえば『From Strength to Strength』(日本でのタイトルは『人生後半の戦略書』)がベストセラー書として有名ですが、こちらは、ブルックス氏本人の経験も含めて人生後半をどう生きるかについて書いた本です。
ブルックス氏は、50代になって自分のキャリアが下り坂になりつつある(ブルックスさんは十分成功者であるのですが)と感じ始め、これからも同じキャリアで少しずつフェードアウトしていくような生き方でよいのか!?と不安と疑問を感じたところから、この本は始まります。今までビジネスで成功し、たくさんの事を成し遂げ、人から賞賛されてきた人こそ、「宴の終わり」についてたいして考えておらず、「宴が終わらないように頑張る」しか打てる手がないと思っている。ブルックス氏もそう思っていた。でも他の生き方もあるのではないか?と、その答えを探求していく内容です。

この本によれば、人には2種類の知能が備わっていて、それが「流動性知能」「結晶性知能」です。

「流動性知能」は推進力、柔軟な思考力、目新しい問題の解決力を示すもの。革新的なアイディアや製品を生み出す人は「流動性知能」が豊かです。シリコンバレーのテック起業家などは「流動性知能」がピカピカに機能しているらしいです。「流動性知能」は成人期にピークに達し、30代~40代に低下し始めるそうです。

一方「結晶性知能」は、過去に学んだ知識の蓄えを活用する能力。頭の中に大図書館ができるイメージです。この「結晶性知能」は40代、50代、60代と年齢を経るほど向上します。

「仕事ができる」という能力を「流動性知能」だけに頼っていると、40代になれば下降するのみ。40代は「流動性知能」と「結晶性知能」を組み合わせ、50代以降は「結晶性知能」を活かす仕事にキャリアをシフトする事で、夕日が沈んでいくようなキャリアの終焉を見ることを回避できるとブルックス氏は提唱しています。

「結晶性知能」が生かせる職業の代表例が教師だそうです。誰もが先生になれるわけではありませんが「教える」「指導する」「伝える」という事を50代以降のキャリアにすると、能力の落ち込み、宴の終わりを寂しく噛みしめることなく、新しい第二のキャリアの線に移れますと、ブルックス氏は説明しています。実際、ブルックス氏は50歳を過ぎてから、ハーバードの教授になりました。

「結晶性知能」を活かした第二のキャリアの線にどうやってシフトするか。退職しないまでも、今の会社に居続けたとしても、「流動性知能」に頼った働き方ではなく、「結晶性知能」にシフトした働き方をどうやって模索していくか。それを考えることによって、人生後半が、尻すぼみ的なキャリアの終わりになるのではなく、新しい線で花開くキャリアになるのではないでしょうか。

例えば違う会社や職業に変わるという劇的な行動を取らず、同じ職場で働き続けたとしても

  • 職場の後輩の相談役になる
  • 自分の得意な事を教えるゼミを開く
  • ブログで自分の知識や経験を発信する
  • 資格試験の受かり方を後輩に教える
  • 学び系Youtuberになり情報発信するという方法もある

など、今の会社にいながらでも、いろいろな「結晶性知能」を活かした働き方があるのだろうと思います。

いくら前半が素晴らしい人生で、成功山盛りで光輝いていたとしても、ただ衰退していくだけのキャリアにしがみついていると、満足した人生といえないかもしれません。

対照的に前半はあまりぱっとしない人生だったとしても、後半以降は充実感と幸福感に満たされていた!と感じられれば、その人生は満足感に満たされるのではないでしょうか。
50歳を見据えた時。あるいは定年や早期退職の適用年齢に近づいた時。自分の「結晶性知能」を活かす働き方、キャリアをじっくりと考えてみることをお勧めします。

 

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